空港閉鎖、欧州ほぼ全域に アイスランド噴火
【ロンドン=岐部秀光】アイスランドの噴火による火山灰は17日に南欧・中東欧に拡大、イタリア北部の空港が新たに閉鎖されるなど航空便の乱れが一段と拡大した。欧州の航空管制を統括するユーロコントロールは同日予想されていた2万2千便のうち1万6千便が欠航するとの見通しを明らかにした。
BBCによるとスペイン、ギリシャなどを除く27カ国で空港を閉鎖・部分閉鎖しており、欧州のほぼ全域に広がった。
英国は15日から導入している上空の航空機飛行禁止を18日午前7時まで延長。16日夕に数時間飛行が解禁された北部スコットランドと北アイルランドは17日までに再び空港を閉鎖した。英国の航空管制機関は「火山灰の雲が形を変え動き回っている」と述べ、移動した火山灰が押し戻される現象が起きていると説明した。アイルランドもいったん解除した飛行禁止を再び導入した。
フランスではパリを含む国内25カ所の空港の閉鎖が続いた。ドイツでは国内16カ所の主要国際空港すべてが閉鎖された。イタリアはミラノなど北部の空港が17日朝から閉鎖された。影響は東方に拡大。ベラルーシは上空の航空機飛行を制限。ウクライナもキエフ空港を閉鎖した。
レイキャビクからの報道によると、噴火したアイスランド南部の氷河にある火山では噴き上げられる灰の高さが低下するなど活動が弱まった兆候があるという。同国当局者はマグマの量が減り震動も弱まってきたと述べた。ただ過去にはいったん弱まった後、再び活動が激しくなった例もあり、再び大量の灰を火山が噴き上げる可能性は排除できないという専門家の見方もある。
米国からの帰国の途上、火山灰の影響でポルトガルに着陸したドイツのメルケル首相は同国で一夜を過ごし空港が開いているローマに向かうと決めた。同首相は18日にポーランドでカチンスキ同国大統領の葬儀に出席する予定だ。ドイツではアフガニスタンの任務で死亡した兵士の遺体を乗せた航空機も足止めされた。
BBCテレビによると、米人気歌手のホイットニー・ヒューストンさんはコンサートのため英国からアイルランドへフェリーで移動した。イラク航空による初めてのバグダッド―ロンドン就航便もキャンセルとなった。英国は復活祭の休暇明けで学校が始まるシーズンで、混乱が広がっている。