2010年度の実質成長率2.2%に NEEDS予測 10年1~3月期速報織り込む

2010/5/20付
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日本経済新聞デジタルメディアの総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、5月20日に内閣府が公表した2010年1~3月期の国内総生産(GDP)速報を織り込んで予測したところ、10年度の実質成長率は2.2%の見通しとなった。3年ぶりのプラス成長、かつ、比較的高めの成長となるが、これは2010年1~3月期が年率4.9%という高成長になったことによる「ゲタ」の効果によるものである。2010年度内の四半期ごとの成長率をみると、輸出拡大の一服などを受けて、景気回復のテンポは若干鈍化する。

海外経済に不透明感、輸出は当面減速へ

5月20日に公表された2010年1~3月期の実質GDP成長率は、輸出の高い伸びや設備投資の2四半期連続の増加などを背景に前期比1.2%(年率換算で4.9%)と4四半期連続のプラス成長となった。10~12月期の前期比1.0%から伸びを加速させている。この結果、2010年度内の各四半期が仮にゼロ成長で終わっても、2010年度の成長率は1.5%になる(いわゆる「成長率のゲタ」)。

一方、1~3月期までの日本経済の急回復を支えてきた海外経済の先行きにはやや不透明感が出てきた。3月のOECD景気先行指数は前月比上昇を続けているものの、伸びは徐々に鈍化しており、日本の輸出をけん引している中国も先行指数は低下している。また、ギリシャの財政問題に端を発した一部欧州諸国の信用不安は、世界的な株安の連鎖を生んでいる。円高・ユーロ安の進行が日本国内の株式市場にも暗い影を投じている。今後も総じてみれば世界経済の底堅い動きが続き、日本の輸出増を支えると期待されるが、当面は輸出の伸びは減速しよう。

設備投資回復は製造業中心、一進一退続く

国内需要に目を転じると、1~3月期まで続いた輸出主導の高成長が徐々に波及しつつある姿がうかがえる。1~3月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は2四半期連続の前期比増加となり、輸出に続く景気の第2エンジンである設備投資が下げ止まりから回復に転じる兆しが出てきた。しかし、機械受注が回復しているのは製造業のみであり、非製造業は下げ止まりが確認できていない。製造業の設備投資の回復のきっかけが輸出の急回復であることを踏まえると、今後、世界経済の先行き不透明感が強まると製造業の設備投資に悪影響を与えかねない。設備投資は一進一退の状況が当面続こう。

1~3月も堅調に推移した個人消費は、従来の政策効果頼みの状況から脱するにはまだ時間がかかりそうである。確かに、景気ウオッチャー調査や消費動向調査からうかがえるように4月に入っても家計の消費マインドは改善が続いている。しかし、雇用の先行指標となる新規求人倍率は明確な反転を見せないなど、雇用・所得環境の回復は一進一退がまだ続きそうである。個人消費の本格回復は雇用・所得環境の改善が明確となる2010年度末以降になると見込まれる。

なお、政策関連では、エコカー購入補助制度が2010年9月末、エコ家電ポイント制度が2010年末に終了する予定であり、終了後の販売減が懸念される。

名目成長率は0.7%とわずかなプラス

以上の現状判断、見通しを総合した結果、2010年度の実質GDP成長率は2.2%となった。2010年度内の各四半期の成長率は年率1%前後という緩やかなものとなるが、「ゲタ」の効果で年度成長率は高めとなる。実質GDPの水準は2010年度末であっても直近のピーク(2008年1~3月期)に比べ3.5%、約20兆円下回る。供給過剰感が残る中、物価の下落圧力は強く、名目GDP成長率は0.7%と実質GDP成長率に比べるとわずかなプラスにとどまる。


(日本経済新聞デジタルメディア 飯塚信夫、堀口亜希子)

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