2010年度の実質成長率は2.5% 11年度は1.7% NEEDS予測
4~6月の実質GDP成長率は年率2%か

2010/7/21付
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日本経済新聞デジタルメディアの総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、7月20日までに公表された各種経済指標の情報を織り込んで予測したところ、10年度の実質GDP成長率は2.5%、11年度は1.7%の見通しとなった。

10年度見通しは1~3月期のGDP2次速報公表後に行った前回予測と変わらず。4~5月分の経済指標から、8月16日に公表予定の4~6月の実質GDP成長率を予測したところ、前期比0.5%(年率2%)と前回予測通りの結果となったためである。ただし、輸出が上方修正、個人消費など内需は下方修正になり、内訳は変わった。

11年度の実質GDP成長率は前回予測から0.1ポイント下方修正した。米国の成長率見通しを下方修正したほか、従来よりも円ドルレートの前提を円高にしたことにより、輸出見通しが弱まった。

なお慎重な設備投資計画

7月1日に公表された6月の日銀「全国企業短期経済観測調査」(短観)によると、10年度の設備投資計画(土地投資額を含み、ソフトウエアを除く)は大企業全産業ベースで前年比4.4%増。民間調査機関の事前予測を若干下回る結果となった。全産業全規模合計ベースでは同0.5%増である。業況判断DIが事前予測を上回る改善となったのとは対照的であり、企業の設備投資、とりわけ国内での投資に慎重な姿勢がうかがえる。

日銀短観の6月調査における設備投資計画(伸び率)と、当該年度のGDP統計ベースの名目民間企業設備投資の増加率との相関の高さなどを踏まえ、10年度の民間企業設備投資は名目で前年比3.6%増、実質で同4.5%増と予測した。前回予測よりも若干の下方修正となった。

明暗分かれた4~5月の月次指標

前回予測公表後に明らかになった5月の月次経済指標は、減速しつつも高めの伸びを維持した輸出と、横ばい推移の個人消費、大幅減の公共投資と明暗が分かれている。

6月上中旬までの貿易統計、4~6月期の輸出物価指数などの情報を織り込むと、4~6月期の実質輸出は前期比5.0%増の見込み。前回予測から上方修正した。1~3月期の同6.9%増からは減速するものの、引き続き高めの伸びとなる。

一方、個人消費動向を示す、内閣府の消費総合指数(季節調整値)は4,5月と2カ月連続のマイナス。4~5月平均値は1~3月期と同水準で、3月までの耐久財消費を中心とした駆け込みの反動が現れている。公共投資も、基礎統計である建設総合統計の公共工事出来高が4~5月平均で前年比10.9%減と大幅なマイナスだ。以上の明暗を総合したところ、4~6月期の実質GDP成長率は前期比0.5%増の見通しとなった。

海外経済の減速、円高の影響織り込む

4~6月の実質輸出は、前回予測を上回る堅調さを見せているが、月別の動きを確認すると、輸出は確実に減速している。各月上中旬の通関輸出金額の前年同月比は、41.4%(4月)→36.3%(5月)→22.5%(6月)と縮小している。

海外経済成長率も減速の兆しがうかがえる。7月8日に公表された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しは、10年の世界経済成長率を4.6%と前回(4月予測)から0.4ポイント上方修正したが、11年は4.3%と据え置いた。今年上半期の急回復を織り込む一方で、先行きの見方は慎重である。本予測における海外経済の前提はIMF見通しよりも若干低めであるが、11年にかけて減速する姿に変わりない。足元の円高も日本の輸出にとって逆風となろう。

以上より、足元の4~6月期は底堅いものの、10年度の輸出伸び率は16.6%増と前回予測から1.5ポイントの上方修正にとどめた。逆に、11年度は6.8%増へ下方修正し、11年度の実質GDP成長率の下方修正につながった。

輸出増の内需への波及がなお遅れ気味であるなか、海外経済の減速は先行きの日本経済にとって懸念材料となろう。

(日本経済新聞デジタルメディア 飯塚信夫、堀口亜希子)

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