2019年9月18日(水)

住宅購入に頭金は必要?  返済困る恐れ、必ず用意を ファイナンシャルプランナー深田晶恵氏

2012/5/25 7:00
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 住宅購入を考えています。新築マンションのモデルルームで、販売業者に「頭金がなくても住宅ローンを組める」と言われました。頭金は必要でしょうか。(東京都、男性、35歳)

低金利が続く中、金融機関は住宅ローンに力を入れており、頭金がゼロでも借りられる場合が多いです。でも、頭金は必ず用意してください。

頭金なしで住宅ローンを組むと、いざというときに困る可能性があるからです。長い返済期間中、何があるか分かりません。収入減などでローン返済が困難になり、家を売却しようと思ったとき、頭金がゼロだと、売りたくても売れない状況に陥りやすいのです。

典型的な例である新築マンションを見てみましょう。販売価格には不動産会社の利益やコストが含まれ、一般に資産価値より1~2割は高いと言われます。頭金がないと借入額が資産価値を上回る状態で返済が始まります()。

新築から十数年は、中古住宅の価格下落の方が元利均等ローンの残高の減るペースより早いのが普通。頭金がゼロだと、ローン残高が時価を上回る恐れがあります。これでは売却価格とローン残高の差額を現金で用意しないと売ることはできないのです。

購入価格の2割以上の頭金があれば、こうした恐れは小さくなります。頭金ゼロで借入額が増えると金利負担が膨らむことも注意しましょう。

住宅ローン金利が低い現状では、身の丈以上の金額を借りられることも気がかりです。銀行が「貸してもいい」金額は、利用者にとって「借りてもいい」金額ではありません。老後に負担が残らないか、慎重に考えてください。

60歳になったとき、ローンがどれくらい残るか計算してみるのがお勧めです。例えば35歳の人が4000万円を、年0・775%の変動金利、元利均等35年返済で借りたとします。11年目以降の金利を年2・5%と仮定すると、60歳時点でローンが約1400万円も残ります。

退職金でローンを返済すれば老後の生活資金に困ります。退職金に頼らずに返せる水準が「借りてもいい」金額です。借入額をむやみに増やさないためにも頭金は大切。お金をしっかりためてから家を買いましょう。

深田晶恵(ふかた・あきえ)
 ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士)。株式会社生活設計塾クルー取締役。外資系電機メーカー勤務を経て、1996年にFPに転身。現在は、特定の金融商品を販売しない独立系FP会社生活設計塾クルーのメンバーとしてコンサルティング業務を行うほか、雑誌等の原稿執筆、講演などを手がける。最新刊『「投資で失敗したくない」と思ったら、まず読む本』(ダイヤモンド社)。その他『30代で知っておきたい「お金」の習慣~99%が知らずにソンしている85のこと』(ダイヤモンド社)、『災害時 絶対に知っておくべき「お金」と「保険」の知識』(共著)、『住宅ローンはこうして借りなさい・改訂3版(ダイヤモンド社)』、『女子必読!幸せになるお金のバイブル』(日本経済新聞出版社)など著書多数。ブログ『お金のおけいこ』http://blog.akie-fukata.com/ ツイッターアカウント[akiefukata]

[日本経済新聞朝刊2012年5月23日付]

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