日本の底力銘柄50 キーワードは「3S」

2011/4/24付
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東日本大震災の発生で、復興に向けた日本の「底力」に関心が高まっている。振り返れば、過去10年にも株式市場は様々な危機、難局に直面し、乗り越えてきた。米同時テロ、ライブドア・ショック、リーマン・ショック……。市場環境が大きく変化する中でも株価水準を着実に切り上げ、相場を下支えしてきた企業はどこか。そうした「底力銘柄」を探ることは、震災後の株式投資を考えるヒントになりそうだ。

「底力銘柄」を探る今回のランキングは、今年3月末時点で時価総額3000億円以上の企業が対象。これらの企業の株価動向から2001年3月末から今年3月末まで10年間について、各年度ごとの騰落率を合計したうえで平均値を算出し、高い順に並べる手法とした。10年前と株価を単純比較した場合とは異なる順位になるが、長期投資に向いた銘柄を探るため、着実に株価が上昇してきた銘柄を重視した。ランキングには10年間のうち、株価が上昇したのが何年あったかも示した。

3つの「S」――。市場環境の変化に耐え、株価の上昇基調を維持したランキングの上位銘柄からは、こんなキーワードが浮かび上がった。Sとは「新興国」の需要取り込み、「資源」高の追い風、世界「シェア」の高さ。新興国の台頭などで世界経済の勢力図が塗り替えられるなか、世界市場で戦える企業を高く評価する機運がみえる。一方で、内需の低迷が続いていることを背景に金融、陸運、サービスの株価は苦戦。国内で過当競争にある総合電機の株価も低迷が目立った。

ランキング上位に並んだのは機械株だ。新興国で高まる建設機械や重機などの需要を取り込み、収益が拡大していることが好感されている。

1位は住友重機械工業。01年3月期には最終赤字を計上し、株価も低迷していたが、その後に業績は急回復。株価の絶対水準が低かったことにも後押しされた面も大きいが、収益増を反映する格好で03年度には株価が1年間で3.9倍にも跳ね上がった。

ともに建機大手の日立建機(3位)とコマツ(6位)は株式市場ではよく知られた新興国関連の代表銘柄だ。海外売上高比率(10年3月期)はそろって70%台と高く、競争力の高さも評価されている。05年後半~07年前半の新興国ブームの時期に株価が大幅上昇。リーマン・ショックでは調整を余儀なくされたが、その後の戻りも早かった。コマツ株は10年間で約5倍に上昇し、11年3月末の時価総額は2兆8214億円と東証1部で16位に食い込んだ。

資源関連も堅調な銘柄が目立った。銅、ニッケル大手の住友金属鉱山が15位に入ったほか、総合商社大手5社(三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅)もそろって50位以内にランクインした。10年前には「商社不要論」も叫ばれていたが、資源・エネルギー関連事業を中心に収益を拡大。資源高に歩調を合わせて、株価も上昇した。

高い技術力を生かし、世界で高いシェアを誇るメーカーの株も投資家に選好された。電動工具メーカー国内大手のマキタが13位に入ったほか、ハードディスク用モーター世界最大手の日本電産も19位で株価は2.6倍に上昇した。

過去10年に「底力」を発揮した銘柄は?(年間株価騰落率の平均値ランキング)
順位社名年間騰落率
の平均値
過去10年の
うち株価が
上昇した年数
1住友重41.7%5
2住友不35.7%5
3日立建機34.8%5
4ソフトバンク33.1%4
5いすゞ32.7%6
6コマツ31.5%7
7住金28.2%6
8神戸鋼27.5%7
9丸紅26.8%8
10ブラザー23.9%7
11オリックス23.8%4
12シスメックス23.4%5
13マキタ22.9%7
14豊田通商22.7%6
15住友鉱21.4%7
16イビデン20.6%6
17三菱商20.4%7
18ヤマダ電20.4%5
19日電産19.4%5
20川重18.7%6
21ファストリ17.9%4
22日電硝17.9%5
23JSR17.6%5
24商船三井15.9%6
25クボタ15.6%4
26三井物15.5%6
27伊藤忠15.5%6
28日立金15.3%6
29大東建15.1%7
30三菱電14.6%5
31ジェイテクト14.3%5
32積水化14.3%6
33菱地所14.2%4
34日東電14.1%5
35三菱マ13.5%5
36ヤマハ発13.2%7
37みずほ証13.1%3
38三井不12.9%4
39日揮12.8%6
40アイシン12.8%6
41日精工12.8%5
42新日鉄12.4%5
43ニコン12.2%6
44JT12.1%5
45シマノ11.4%7
46旭硝子11.3%4
47住友商11.1%5
48住生活G10.8%6
49テルモ10.8%7
50みずほ信10.5%4
(注)2011年3月末時点の時価総額が3000億円以上で、01年3月から株価の比較が可能な企業が対象。銘柄ごとに算出した01年3月から11年3月までの各年度の株価騰落率を単純平均した。

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