フェイスブック初日大引け 息詰まる38ドル攻防
見切り売りマネー、金に週末パーキング
日本時間今朝(5月19日)4時50分。NY株式市場大引け10分前。NY金価格がスルスルと1595ドルと1600ドル寸前まで上がり始めた。何事かとNYに電話を入れると、フェイスブック株を見切り売りの投資家マネーの一部が時間外取引を通じて急反騰中の金に「週末パーキング」しているという。
その直後から、大引けまでの10分間を言われるままにウオッチすれば、フェイスブック株価が38.05、38.03、38.01そして遂に38.00ドルと公開価格を割り込みそうな下げ。デイトレーダーの見切り売りだ。機関投資家もギリシャ情勢が気になり週末まで持ち越したくないのでとりあえず手放したい気持ち。
しかし、今回の新規株式公開(IPO)引き受け会社主幹事を務めるモルガン・スタンレー・スミス・バーニーにしてみれば、ここで38.00ドルで引けるか、37.99ドルで引けるかで天と地の差がある。公開価格が下回り週を越せば、来週月曜には、個人投資家の失望売りの波に見舞われるは必定。なんとしても38ドルは死守せねばならぬ。
大引け間際の投資家からの売り注文は「全買い」で必死の防戦だ。
すでに取引所は大混乱。というのは、過去最大級のIPO売買高で、顧客からは「売買注文の確認がとれない」の苦情が殺到していたからだ。ツイッターなどソーシャル・メディアには「朝イチで出した買い注文の確認がまだ来ない!」などの書き込みが目立つ。
息詰まるような10分間。なんとか38.23ドルとギリギリのところで幹事会社が守り切った。とはいえ、大引け後20分くらいは、市場混乱の余波で、なんらかの売買エラーなどの「ちゃぶ台返し」があるのでは、との緊張感が残っていた。
マネーの「週末パーキング場」の一つに選択された金市場の価格も38ドル死守確認とともに、市場の安堵感を映すか如く、時間外取引で5ドルほど下げた。
来週、月曜のNY市場が果たしてどの値位置で寄り付くか、気になるところだ。

豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。
1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリッヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく、独立系の立場からポジショントーク無しで、金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。
ブログは「豊島逸夫の手帖」http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/index.html
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