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円高を食い止めた2人のFRBタカ派

ダラス連銀のフィッシャー総裁とフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁といえば、筋金入りのタカ派だ。1月末からイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長率いる新体制となる米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つこの2人が、14日の講演でこう語った。

 「株式市場が調整局面に入っても、私は投票権を持つ限り米緩和縮小を支持すべく行動する。債券買い取り額も月額850億ドルから650億ドルに減らすべきだった。株も債券も、いまはバブル・モードとはいえない。しかし正常なバリュエーション(投資尺度)に戻る調整局面は覚悟すべきだろう」(フィッシャー総裁)
(注)バーナンキ議長は750億ドルへの減額から緩和縮小を始めている
 「米失業率は6.7%から年末には6.2%まで下がるだろう。労働参加率の低下は問題ない。さらにインフレ率も現在の1%から、年内には米連邦準備理事会(FRB)目標の2%に上昇するだろう。国内総生産(GDP)成長率は3%を予測する。いまより速いペースで量的緩和縮小を実行すべきだ」(プロッサー総裁)

タカ派の面目躍如たる発言に、マーケットは強く反応した。債券市場では10年債利回りが前日の2.82%から2.87%まで反発。外為市場ではドルインデックスが前日の80.61から80.74までじり高。特にドル買いのエネルギーが円売りにはけ口を求め、円相場は104円台を回復した。結果的にFRBのタカ派が円高進行を阻止する展開になっている。

さらに注目されたのは、株式市場がタカ派発言にもかかわらず上昇したことだ。(1)米銀最大手JPモルガンの2013年10~12月期決算が、減益ながらも市場予想を上回る内容だった(2)米小売売上高も市場予想を上回る前月比0.2%増だった――という2つの注目材料に安堵した相場といえる。加えてプロッサー総裁が「量的緩和縮小は粛々と進めるべし。ただし利上げは急がず」とも示唆したことが市場に安堵感を与えた面も否定できない。

市場はこうした「良いニュース」で量的緩和縮小を連想し、「悪いニュース」扱いすることが多かった。しかし14日は素直に「良いニュースは良いニュース」と解釈しているようだ。タカ派発言にもめげることなく、株価が下げなかったことにも変化を感じる。量的緩和による流動性注入の点滴を外されても、症状がぶり返す不安が徐々に薄れているリハビリ期間に入ったとみている。

年明けから続いていた株価調整も、リーマン・ショックという有事対応としての非伝統的金融政策が平時対応に戻る過程に伴う痛みなのだろう。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。11年9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。
 1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく、独立系の立場からポジショントーク無しで、金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。
ブログは「豊島逸夫の手帖」http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/index.html
ツイッター(http://mobile.twitter.com/search?q=jefftoshima)ではリアルタイムのマーケット情報に加えスキー、食べ物など趣味の呟きも。日経マネーでは「現場発国際経済の見方」を連載中。日本経済新聞出版社や日経BP社から著書出版。業務窓口は jefftoshima@hyper.ocn.ne.jp
豊島逸夫さん責任編集のムック本『不安を生き抜く!「金」読本』が日経BP社から発売されました。

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