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円安・日中・TPPに触れるか、米大統領の一般教書演説

連休明けの市場はブレイナード財務次官のアベノミクス支持発言を受け、いきなり1ドル=94円台半ば近くまで急速な円安の切り返しで始まった。麻生発言後に92円台まで円高に振れた「調整期間」も実に短かった。投機筋が円を売っては、安くなったところで買い戻し、円高に調整したところで、すかさず再度、円売りを仕掛ける。いわゆる売買回転がきいている典型的な相場つきだ。要人発言に振り回される円相場と言われるが、筆者の元通貨投機筋の立場から見ると、投機マネーが要人発言を利益確定円買いや新規円売りの口実に利用している感のほうが強い。

新規投機マネーも参入中だ。「グレート・ローテーション」という言葉がはやっているが、外為市場でもHave you rotated? ローテーションしたかい? という会話が聞かれる。他通貨から円にローテーションしたか、との意味合いである。

さて、今週は、G20財務相・中央銀行総裁会議、日銀金融政策決定会合など重要イベントが続くが、12日にはオバマ大統領一般教書演説も行われる。特に、今年は、日本関連の言及の有無が注目だ。

具体的には、以下の問題につき、コメントするか否か。

1、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)参加を歓迎

2、アジアの領土問題と日中関係への懸念と対応

3、円安加速の中でアベノミクスの評価あるいは通貨安競争抑制の必要性

いずれも日本名指しまではないだろうが、一般論としても演説に盛り込まれる可能性はある。それほどにhot issue、ホットな問題になりつつあることは確かだ。

安倍訪米を来週に控え、ゲームでいえば、先手、オバマ、というところか。

TPPに関しては、まさに自民党内での議論もヤマ場。反対派優勢という状況だ。仮にも、オバマ大統領が言及すれば、サプライズ「外圧」として無視できまい。

尖閣問題は、クリントン前国務長官が、踏み込んだ米国関与を「置き土産」としてバトンタッチしたばかり。照準レーダー事件直後で緊張が一段と高まっているタイミングで、オバマの一言があれば影響は大きかろう。

そして、冒頭にふれた円安。アベノミクスは和製英語だが、最近は「Abenomics」と英語でヘッドラインになる例も見受けられるほど欧米でも頻繁に使われる用語になった。ブレイナード財務次官のアベノミクス支持発言を確認するか。一方で、オバマ大統領としては、国内産業に対する配慮を示す必要もあろう。

以上、例年になく、日本への注目度は高まっている中での一般教書演説となる。

もちろん、演説の主要部分は、(強制歳出削減発動も視野に入ってきた)米国財政、そして雇用、銃器規制、移民などの国内問題だ。特に「サンドイッチ世代」と呼ばれる中間層が、子供の教育と親の介護の板挟み状態に置かれ、実質収入も減少していることへの対応をまず語らねばなるまい。

なお、大統領一般教書演説は最大級の政治イベントで、毎年、大統領夫人の隣に誰が選ばれ座るかも、注目される。今年は、アップルCEOティム・クック氏になるようだ。時あたかも、アップル社、株価低迷打破の切り札として「iウオッチ」開発が11日の市場でも材料視されている。話題性の高い人選となった。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。
 1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリッヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく、独立系の立場からポジショントーク無しで、金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。
ブログは「豊島逸夫の手帖」http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/index.html
ツイッター(http://mobile.twitter.com/search?q=jefftoshima)ではリアルタイムのマーケット情報に加えスキー、食べ物など趣味の呟きも。日経マネーでは「現場発国際経済の見方」を連載中。日本経済新聞出版社や日経BP社から著書出版。
業務窓口は jefftoshima@hyper.ocn.ne.jp
豊島逸夫さん責任編集のムック本『不安を生き抜く!「金」読本』が日経BP社から発売されました。

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