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写真で見る「関西節電 未体験の夏」

猛暑だった2010年夏比で15%削減を目標とする節電要請に、関西の企業、家庭が直面している。電力需給逼迫時の計画停電は「万が一」(関西電力)というものの、未体験の事態に不安はぬぐえない。昨年より厳しい「我慢の夏」。関西が暑い季節を迎えた。

消灯

兵庫県姫路市にある山陽特殊製鋼の本社事務所。真っ暗な廊下は緑色に光る非常灯以外は、外光がわずかに差し込むだけ。「関電管内の事業所でうちが一番電力を使っている」(同社)。昼夜フル操業で工場が稼働する同社は、生産ラインを止めるわけにいかない。「できるところで節電を」と、一年前から徹底した消灯を始めた。

真っ暗な廊下を歩く山陽特殊製鋼の従業員(5日、兵庫県姫路市)
天井の照明が消され薄暗い大和ハウス工業の本社ビル(6月29日、大阪市北区)
大和ハウス工業の本社ビルに設置された蓄電池(6月29日、大阪市北区)

大阪・梅田にある大和ハウス工業の本社も天井の照明が消され、従業員はLED(発光ダイオード)の卓上灯をたよりに机に向かう。その脇には高さ約70センチ、奥行き55センチ、幅32センチの黒い塊。この深夜電力で充電したリチウムイオン蓄電池が、午後1時から6時まで活躍する。1台で10人分の使用電力を賄え、本社ビルのピーク時の約7%削減を見込む。

発電

ピークの時間帯を自家発電装置で補う企業も少なくない。節電期間がスタートした2日、キリンビール滋賀工場では、けたたましい音とともに巨大なガスエンジンが回転を始めた。発電能力が3650キロワットと、同工場のピーク電力の6割を供給するという。投資額は約7億円。すでにキリンでは全国8工場で自家発電設備を配備している。

稼働を開始したキリンビール滋賀工場の自家発電機(3日、滋賀県多賀町)

また三菱電機京都製作所(京都府長岡京市)では、太陽光発電パネルの設置工事が続いている。工場の屋根一面にパネルが並ぶ。3月末までに約800枚を設置し、すでに稼働を始めたが、夏の電力使用ピークに対応するため、さらに294枚を増設中だ。発電した電力は液晶テレビの組み立てラインに供給する。

三菱電機京都製作所の屋根に設置される太陽光発電パネル(6日、京都府長岡京市)

「見える化」

生産現場の使用電力などをリアルタイムで表示する「環境あんどん」を設置したのは、オムロン綾部事業所(京都府綾部市)。使用電力の価格も表示されている。工場の一角に置かれたモニターの前では、作業途中の従業員が立ち止まり、数値やグラフを確認する姿が目立った。従業員同士が情報交換しながら節電意識を高めている。同社は関電管内にある5工場・事業所のピーク電力使用量を、2010年夏に比べて25%削減を目指す。

モニターに生産現場の使用電力などをリアルタイムで表示するオムロン綾部事業所(6日、京都府綾部市)

身近な節電

園児たちはすやすやと午後の昼寝中。7月初め、大阪府八尾市の久宝まぶね保育園の屋上では、エアコンの室外機に熱交換器を取り付ける作業が行われた。「小さな命を預かる立場上、食事や昼寝の時間にエアコンの温度を上げるわけにいかない」(五十嵐宏枝園長)。節電への取り組みは手探りだが、できるところで協力したいと設置を決めた。業務用空調機の省エネ対策として、室外機に後付けする熱交換器。OA機器販売のエイコー(大阪市)が開発、4月から販売を開始した。「効率的に冷媒ガスを放熱し15~25%節電できる」(同社)。熱交換器の追加で室外機の放熱面積を拡大する仕組み。設置から3~5年以上経過した古い空調機で節電効果が期待できるという。設置費用は工事代込みで25万円ほど。

保育園の屋上にある業務用空調機の室外機に取り付けられた熱交換器(4日、大阪府八尾市)

一方、東京電力福島第1原子力発電所事故や大飯原発再稼働問題は、関西で生活する人々の意識の変化をもたらした。6月、大阪・梅田のヨドバシカメラ・マルチメディア梅田に、LED照明コーナーが登場。約100種類の商品が壁や天井を覆い尽くす。7月最初の週末、売り場では店員が客の応対に追われていた。昨年までは3万円台が主流だったが、今年になって1万円台の商品も出始めた。手ごろな価格と節電意識の高まりが重なり、「今年の春には販売数で蛍光灯照明を抜いた」(担当者)。6月の売り上げは昨年同月比で約4割増という。

LEDの天井照明が並ぶヨドバシカメラマルチメディア梅田(3日、大阪市北区)

大阪・梅田の阪急百貨店メンズ館。6月最後の金曜日の夜、スーパークールビズのミニファッションショーが繰り広げられた。室温設定28度でも快適に過ごせるライフスタイルを提案。水色のランウェーを歩くモデルが着るのは、「ブルックスブラザーズ」のシャツ(10,500円)、パンツ(16,800円)、ベルト(6,195円)。さわやかな装いに、仕事帰りのビジネスマンたちが足を止めていた。

スーパークールビズのファッションショー(6月29日、大阪市北区の阪急百貨店メンズ館)

大阪写真部の玉井良幸と伊藤航が担当しました。

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