同じ「元祖ラーメン長浜家」2店の屋号争い、判決へ 福岡地裁
豚骨スープとストレートの細麺で知られる「長浜ラーメン」を提供する福岡市内のラーメン店が近くの同じ屋号のラーメン店を相手取り、屋号の使用差し止めと売り上げ減少分の賠償を求めた訴訟の判決が6日、福岡地裁で言い渡される。訴えられた店側が屋号を変更して和解する案も一時浮上したが、交渉は決裂。2年半以上にわたる「ラーメン戦争」は司法判断に委ねられる。
訴訟の原告は、同市中央区大手門に店を構える「元祖ラーメン長浜家」で、被告は約100メートル離れた場所にある「元祖ラーメン長浜家」(中央区港)。読み方も同じ「ながはまけ」だ。
訴えによると、原告の店は2009年12月に開業し、被告は4カ月後の10年4月に出店。両店は屋号が全く同じで、看板の上段に小さく「元祖ラーメン」、下段に「長浜家」と横書きした文字の配置や配色、明朝体の字体も酷似している。
このため、原告側は「同じ営業主体だとの誤解を招き、売り上げも減った」と主張。同年6月に屋号を商標登録し、7月に提訴に踏み切った。
ラーメン激戦区の福岡市には、両店以外にも「元祖」「長浜」を掲げるラーメン店が乱立する。関係者によると、原告と被告はもともと、約60年前の創業で「替え玉」発祥の店とされる「元祖長浜屋」の元従業員で、独立して「元祖ラーメン長浜家」を開業。そこからさらに被告が独立したという。
裁判所は和解を勧め、協議では被告の屋号の「ラーメン」の位置を後ろにずらして「元祖長浜家ラーメン」に変更する案が持ち上がった。しかし被告側が提示した変更後の看板案は、字体はそのままで一見した印象もほぼ変わらない、と原告側には映った。
このため、原告側はさらに、変更後の屋号の使用を被告の一代限りとし、変更前の屋号の入ったどんぶりの使用は現品だけに制限することを要求。今度は被告側が拒否するなど応酬が続いた。
福岡市民だけでなく観光客にも人気の長浜ラーメン。判決までに急転直下で和解に至る可能性はわずかに残るが、少なくとも原告側は判決で決着をつけたいとの姿勢だ。「有名店の内紛」(業界関係者)との声もある訴訟で、裁判所の判断が注目されている。