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高級シャツのHITOYOSHI 親会社破綻3年、経営軌道に

親会社だったトミヤアパレルの経営破綻から3年。独立して再出発した高級シャツメーカー、HITOYOSHI(熊本県人吉市、吉国武社長)の経営が軌道に乗りつつある。独立時に支援を受けた投資ファンドの資金支援は予定通り2011年末に終了。OEM(相手先ブランドによる生産)だけでなく、東京や熊本の百貨店で自社ブランド商品の販売も始めた。

東京・有楽町の男性向けファッション専門店「阪急メンズ・トーキョー」。紳士用シャツ売り場に「HITOYOSHI」という見慣れないブランドの商品が並ぶ。実は昨年10月の登場以来、同売り場で売り上げトップの人気商品だ。価格は1枚9975円と決して安くはないが、国内で生産した高い品質を考慮すれば割安で消費者に受け入れられている。

高い技術力を生かし高級シャツを生産する(熊本県人吉市)

「企画段階で不要なものを取り除けば、従来の半額でできる」。吉国社長は値ごろ感のある商品作りを説明する。中間流通のアパレル企業などを通さず、自社の企画・営業部門と人吉市の工場が直結した一貫体制が同社の強みだ。

同社はもともと大証2部上場の大手シャツ製造卸、トミヤアパレルの生産子会社だったが、同社は09年に会社更生法の適用を申請。人吉市の工場は閉鎖の危機に直面したため、同社で企画担当の取締役だった吉国氏と工場長だった竹長一幸氏(HITOYOSHI取締役)が中心となり、MBO(経営陣が参加する買収)で独立し、生き残りを目指した。

アパレル業界は厳しい国際競争にさらされ、生産はコストの安い中国など海外が大半だ。「話が持ち込まれた当初は国内で縫製業ができるのかと思った」。HITOYOSHIに出資した事業再生ファンド「ボレロファンド」を運営するドーガン・インベストメンツ(福岡市)の森大介社長は振り返る。

HITOYOSHIの魅力はスーツのように立体裁断でシャツを縫製できる高い技術だ。また、年間30万枚ものシャツを作れる数少ない国内工場でもある。トミヤアパレルの子会社時代は同社のシャツ販売総数1200万枚の中に埋もれていたが、「高級シャツに特化すればやっていけると思った」(吉国社長)。

独立当初は従業員74人と、子会社時代の半分以下で再出発。「最初の1年は名前を知ってもらうために何でもやった」と竹長取締役は語る。

現在はHITOYOSHIの製品企画力や品質力が他メーカーにも認められ、単純な生産受託だけでなく、企画段階から生産まで一貫して請け負うケースも増えてきた。年間生産数量は当初の18万枚から20万枚超にまで伸び、従業員も110人になった。今年はさらに20人程度を雇用する考えだ。

ただ、MBO初年度から営業黒字を果たしたとはいえ、利益水準はまだ低い。今後の成長には自社ブランドの育成が欠かせない。昨年末には阪急メンズ・トーキョーに続き、地元の県民百貨店(熊本市、松本烝治社長)でも自社ブランド商品(1枚5145円)の販売を始めた。

さらに、将来は独自の売り場の開設も目指している。「全体の2~3割は自社の売り場で販売したい。先々は海外にも出していきたい」と吉国社長は意気込む。再生から独り立ちへと踏み出したHITOYOSHIの真価がこれから問われる。(熊本支局長 小玉祥司)

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