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屋久島「入島料」に壁 課金方式や金額、町が検討

(更新)

世界自然遺産の屋久島の環境を保全する財源を確保するため、鹿児島県屋久島町が26日、観光客などからの「入島料」徴収の検討を打ち出した。島のシンボル、縄文杉への登山客は年々増え、環境悪化を懸念する声が強い。ただ、同町では昨年、縄文杉への登山客らを制限する条例が議会で否決されており、今回も実現へのハードルは低くない。

屋久島を訪れた人は2010年に約33万人で、07年のピーク時より約7万人減少。半面、縄文杉への登山客は10年に約9万人と同期間に約2万人増えており、観光客の集中が激しい。大型連休や夏休み期間は一日1000人を超える日もある。観光客が登山道から外れた場所に入り、屋久杉の根を傷めるといった問題が指摘されている。

トイレの問題もある。山小屋のし尿は人力で搬出しており、屋久島町は経費として年間約2000万円を計上している。

こうした課題解決のため、同町は昨年6月、縄文杉に向かう歩道周辺の森などへの立ち入りを、事前に町長の承認を受けた人に制限する条例を町議会に提出した。しかし観光客の減少を心配する観光業界などが反発し、議会は全会一致で否決。前町長は10月の町長選で落選した。

荒木耕治新町長は当選後「立ち入り制限案は凍結し、別の保護方法を探りたい」と語り、課金についても言及していた。

「入島料」は法定外目的税とするか、地方自治法に基づく手数料とするか未定。税方式は既に、沖縄県の渡嘉敷村など3村がフェリーなどで着く観光客や住民を対象に1人1回100円の「環境協力税」を徴収している。

ただ、3村の人口は700~1500人。屋久島町は約1万3700人で、出入りする人は桁違いに多い。町民からも徴収することになれば反発は必至だ。観光客だけからの徴収は税負担の公平性という面で問題が指摘され、国の同意を得られない可能性もある。屋久島への「入島税」は以前も同町や鹿児島県などが検討したが、そうした課題が壁となり、いったん断念した経緯がある。

手数料方式は、同じ世界自然遺産の知床の知床五湖で春~秋に導入されている。ただ、遊歩道に入る人を比較的把握しやすい知床と異なり、屋久島の登山道は多く、山奥にある縄文杉近くでの徴収も現実的でない。

金額でも意見が分かれそうだ。高ければ観光業界などの反対を招く可能性が高い。逆に安ければ町財政への寄与は小さく、観光客の集中を防ぐという本来の目的を達成できない恐れもある。

荒木町長は「自然保護があらゆる政策に優先する」との方針を示している。観光業界にも「観光客数の制限は収入減に直結するが、観光振興にも使える入島料なら納得しやすいのではないか」(椎葉伝四郎・屋久島観光協会事務局長)という声がある。様々な利害を抱える関係者が納得できる知恵を出せるのか、今春発足する屋久島町の検討会は難題に挑む。

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