2019年2月24日(日)

長崎や熊本、塗り替わる金融地図 ふくおかFG 統合5年の変革(中)

2012/4/27付
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「6月からは月に1回は長崎市で経営会議を開く。役員はその足で市内の取引先を回れ」

長崎県佐世保市を地盤とする親和銀行。小幡修頭取は4月の就任早々、役員らにこう指示した。2007年10月にふくおかフィナンシャルグループ(FG)の傘下に入り、不良債権処理を終えた同行にとって目下の最大の課題は、長崎県最大の市場、長崎市での融資拡大だ。

小幡頭取は3月末まで、福岡銀行の北九州代表副頭取として、西日本シティ銀行や北九州銀行との競争の陣頭指揮を執ってきた。北九州代表の2年間で850社超を訪問。就任時に550億円あった西日本シティ銀との貸出金残高の差を詰め切った。「役員が足しげく通えば、力を入れていることが地域に広がる」。小幡頭取は強調する。

親和銀は4月2日付で「長崎代表」を新設、生え抜きの吉沢俊介専務を充てた。これまで常務クラスの長崎地区本部長だけだった長崎市常駐の役員は2人に増えた。福岡銀が強みとする医療向け融資などのノウハウを学んだ専門部隊も10人増員。長崎市を中心に新規顧客の開拓にあたらせる。

長崎市に本店を置き、長崎県内でトップシェアを握る十八銀行。親和銀との県内の貸出金残高の差は11年9月末時点で約1千億円。親和銀は12年3月末までに残高を500億円伸ばしており、小幡頭取は「13年3月末には肩を並べるくらいにはなるはず」と話す。

「北の親和銀、南の十八銀」とすみ分けがはっきりしていた長崎県。親和銀がふくおかFG傘下となって以降、十八銀も県北部への攻勢を強めており、その図式は塗り替わりつつある。07年時点では九州全体の金利水準より0.3ポイントは高かった県内の貸出約定金利は競争激化の結果、九州の平均とほぼ同水準となった。

競争が激しくなっているのは熊本県も同様だ。

ひと頃は「全ての分野で肥後銀行と対抗しようとした」(ふくおかFGの谷正明会長兼社長)熊本ファミリー銀行だが、今は「県内リテール(小口金融)トップ」を目標に個人や中小企業に特化。福岡銀のノウハウを活用できる医療法人向けの融資など、「肥後銀を崩しやすい分野」(林謙治頭取)に絞り込む。

肥後銀よりも頻繁に取引先に足を運ぶ「ローラー営業」を展開。林頭取は「目の前の競争では、当たり負けしない戦いができている」と手応えを口にする。

肥後銀も今春、個人向けの金融コンサルティングや生命保険の営業を担当する新部署を立ち上げるなど、リテールの強化に乗り出した。「シェアの変動は無くても、競争で(企業や個人の)利便性は上がっている」。日銀熊本支店の本幡克哉支店長はこう指摘する。

ふくおかFGの反転攻勢が実を結びつつある長崎と熊本。しかし、谷会長兼社長は「ようやく歩き始めたばかり、配当ができるようになってこそ一人前」と厳しい。効率性を示すコア業務粗利益経費率(OHR)は親和銀、熊本ファミリー銀ともに11年4~9月期で70%台と、福岡銀の54.6%に比べて見劣りする。ふくおかFGは13年度からの3年間を「飛躍ステージ」と位置付けており、親和銀と熊本ファミリー銀の真価が問われる。

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