「清酒空白県」鹿児島に40年ぶりの仕込み蔵
浜田酒造、焼酎と相乗効果狙う
全国で唯一、清酒の酒蔵がない鹿児島県で17日、約40年ぶりに仕込み蔵が完成した。大手焼酎メーカーの浜田酒造(同県いちき串木野市)が同市内の焼酎蔵内に新設。酒蔵は見学できるほか、レストランも併設しており、清酒を売り込むとともに、焼酎の販売拡大にもつなげる考えだ。
新たな仕込み蔵の生産能力は年間60キロリットル。原料の酒米は県内で生産していないため、九州の他県から調達する。まず5月に生酒を併設レストランなどで提供し、その後は純米酒などを販売する方針だ。
鹿児島県は芋や麦などを原料とする本格焼酎(旧乙類焼酎)の生産量が全国一だが、清酒は水稲栽培に適さないシラス台地が広がる地理的条件や高温の気候などがネックとなり、1970年を最後に県内生産が途絶えていた。
浜田酒造の浜田雄一郎社長は同日、記者会見し、「本格焼酎と清酒のルーツはともに『どぶろく』。1カ所で両方を味わってもらうことで、本格焼酎への理解も高めてもらう」と語った。