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飯塚事件の再審請求、DNA鑑定で真っ向対立

福岡県飯塚市で1992年、7歳の女児2人が殺害された飯塚事件の再審請求で、弁護団と検察側がDNA鑑定を巡り対立を深めている。弁護団は先月、鑑定結果を撮影したネガフィルムを独自に分析し、「第三者のDNA型が写っていた」と「真犯人」説を提示した。検察側は「分析は誤り」と反論の準備をしており、福岡地裁での3者協議の行方が注目される。

再審は、久間三千年元死刑囚(当時70)の死刑執行からちょうど1年後の2009年10月28日に妻が請求した。今年2月に始まった3者協議は来月3日で6回目になる。

弁護団は今秋、犯人とされるDNA型の鑑定結果を撮影したネガを法医学の専門家に依頼して分析。「元死刑囚と一致しない型が読み取れる」と発表した。主任弁護人の岩田務弁護士は「無罪を言い渡すべき新証拠だ」と再審開始を求める。

DNA鑑定は警察庁科学警察研究所(科警研)が92年に「MCT118型」の手法で行い、95年に一審でネガが証拠採用された。鑑定した科警研の技官が一審で証人尋問された際にも計2回、法廷で提示されている。

その後、ネガは科警研で保管され、再審請求で地裁が取り寄せるまで弁護団は見ていない。岩田弁護士は「実質的に開示されていたとは言えない。専門家に調べてもらう機会が失われた」と批判。ネガには科警研が鑑定書に載せた写真より広い範囲が写っており、鑑定書にない部分で第三者のDNA型が読み取れるのに検察側は巧妙に隠していた、とも主張する。

「一審から法廷に出されていた。今になってそれが『新証拠』になるのか」。検察幹部は首をかしげる。科警研の鑑定書の写真ではDNA型の存在を示す「バンド」が見えにくいため、技官の証人尋問では弁護人や裁判官が元のネガと照合しながら質問していた。

「第三者の型」の主張についても、検察側は「鑑定の際に生じる染色ムラや現像ムラ。型判定に用いるバンドではない」と否定。一審の検察官の論告でも言及している。

久留米大学の神田芳郎教授(法医学)は「当時のDNA鑑定は技術レベルも精度も低い」として弁護団の「第三者の型の発見=真犯人」説には懐疑的。ただ、飯塚事件とほぼ同時期、同じ手法で科警研が鑑定した足利事件では、残っていた試料で高精度の鑑定を改めて実施、誤りが判明した。「一番の問題点は再鑑定用の試料がないこと」と神田教授は指摘する。

飯塚事件は、誤った鑑定が虚偽の自白を招いた足利事件とは証拠の構造が異なり、目撃証言などの総合判断で有罪とされた。一審判決は「DNA鑑定だけでは被告が犯人と断定できない」とも述べた。ネガの新証拠としての価値を裁判所がどう判断するかが今後の焦点だ。

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