「椅子の脚折れ転倒、うつ病に」 ニトリに賠償命令
福岡高裁、一審より増額し1580万円
大手家具量販店のニトリ(札幌市)が販売した椅子の脚部分が折れて転倒、負傷してうつ病になったなどとして、北九州市の40代の主婦が同社に約5700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、福岡高裁であった。古賀寛裁判長は同社に約960万円の支払いを命じた一審・福岡地裁小倉支部の判決を変更、約1580万円の賠償を命じた。
判決理由で古賀裁判長は、主婦が転倒事故で腰を骨折し、歩行困難となってうつ病を発症したと一審判決に続き認めた。さらに事故と発症の因果関係について「身動きが取れず、家族らに迷惑をかけているという負い目や悲しみがあった」などと一審より強く認定、賠償額を増額した。
ニトリ側は「転倒事故と、うつ病や歩行困難に因果関係はない」と主張していた。
判決によると、2008年11月、自宅で椅子に座っていた主婦が子供を膝に乗せようとした際、椅子の脚部分が溶接不具合で折れ、転倒した。
ニトリの持ち株会社、ニトリホールディングスの秘書室は「判決文の詳細を確認中で、コメントは差し控える」としている。ニトリ側は既にこの事故を経済産業省に報告。同様の事故はないといい「椅子は日本工業規格(JIS)に合格しており、耐久性に問題は無い」(同社)として、現在も販売している。
この訴訟を巡っては、一審・福岡地裁小倉支部がニトリ側に送付した判決文に、言い渡した判決内容より多い賠償額を誤記したミスがあった。