群雄割拠の電池メーカー、競争力磨く(エネルギーを拓く)
第2部 太陽光フロンティア(2)

2011/12/21付
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2007年から太陽電池製造を手掛けるホンダ子会社のホンダソルテック(HST、熊本県大津町)。業界後発組の同社に10月、グループから"援軍"が送り込まれた。

■激しい消耗戦

東日本大震災で被災したホンダエンジニアリング(栃木県芳賀町)の太陽電池開発部門の技術者たちが部門ごと合流したのだ。被災建屋の復旧が難しかったこともあるが、生産と開発の一体化による競争力強化が狙いだ。

HSTが生産するのは主流の結晶シリコン系ではなく化合物系の薄膜太陽電池。幅広い波長を吸収して効率的に発電でき、年間発電量はシリコン系をしのぐとされる。

弱点は光エネルギーの電気への変換効率。最大13.5%だが、シリコン系に比べ1~2ポイント劣る。このためHSTは研究開発の強化を決断。数佐明男社長は「生産と開発の歯車のかみ合わせをよくし、回転速度を上げる」と話す。

九州には太陽電池メーカーの生産拠点が集積しており、その生産量は全国の13~15%を占める。「要素技術が似ている半導体産業が盛んなため」(九州経済産業局)だ。

来年7月から導入される再生エネルギー全量買い取り制度を追い風に、太陽光発電市場は14年には1567メガワットと10年比で9割伸びる見通し。ただ競争は厳しい。

世界生産量の4割を占める中国勢は価格攻勢を強め、ウォン安を背景に韓国勢も台頭。国内出荷量に占める輸入品比率は11年4~9月に17.5%と過去最高に達した。国内各社は激しい消耗戦を強いられている。

HSTと同様、化合物系薄膜電池を手掛ける昭和シェル石油子会社のソーラーフロンティア(東京・港)。1千億円を投じた生産能力世界最大級の国富工場(宮崎県国富町)が7月にフル稼働に入った。ところが、6月からの半年で2割以上の価格下落に見舞われた。

昭シェルの太陽電池を柱とするエネルギー事業は11年1~9月期の売上高が415億円だったが196億円の営業赤字。ソーラーフロンティアは国富工場で生産1千キロワット当たりの人員を1人未満と、既存工場の約4分の1以下に減らすなど効率化を進めるが、目標に掲げる13年3月期の単年度黒字は難しい情勢だ。

02年から薄膜太陽電池を手掛ける三菱重工業は採算悪化を受けて、長崎造船所諫早工場(長崎県諫早市)にある6ラインのうち5ラインの売却へ向けて台湾メーカーと交渉を進める。研究開発機能だけを残し、生産は外部委託する道を選んだ。

■独自性に活路

苦しい環境下、各社は生き残りを探る。

国内大手に太陽光パネルをOEM(相手先ブランドによる生産)供給するYOCASOL(福岡県大牟田市)。発電素子(セル)や封止材、ガラス基板の接着技術に強みを持つが、市来敏光社長は「設計に知恵を絞れば発電時のロスを数%減らすことができる」と改善に汗をかく。

厚さ51マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの薄膜太陽電池を生産する富士電機の熊本工場(熊本県南関町)は、「軽い、薄い、曲がる」という特長を生かし、どこにでも設置できる「ユビキタス電池」に活路を求める。

今秋からビニールハウスや養殖いかだにフィルム状の太陽電池を設置、実証実験を始める。伊藤直樹工場長は「創意工夫を凝らして、送電網が未整備の新興国市場を開拓する」と力を込める。

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