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大手、一部で投資拡大 揺れるシリコンアイランド(下)

コア技術、国内で磨く

大村湾を望む長崎県諫早市の丘陵地。ソニーの半導体生産子会社、ソニーセミコンダクタ(福岡市)は、この地に建つ長崎テクノロジーセンター(長崎TEC)で11月14日、画像用半導体のCMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーの最新鋭ラインを稼働させた。

最新鋭の画像用半導体生産ラインを稼働させたソニーセミコンダクタの長崎TEC(長崎県諫早市)

早くも追加投資

「今後2~3年でさらに1.5倍に規模を拡大する。それでもまだ需要に追いつかないかもしれない」。ソニーで半導体事業本部長を務める斎藤端業務執行役員EVPはこう語り、早くも追加投資の方針を示す。

ソニーは九州で画像用半導体の生産を拡大している。昨年から合計1400億円を投じて熊本テクノロジーセンター(熊本県菊陽町)、長崎TECを増強。CMOSセンサーの生産能力を2012年3月までに月5万枚(直径300ミリメートルウエハー換算)と従来の2倍に引き上げている最中だ。斎藤氏の発言は、さらに月7万5千枚へ増やそうというもので、追加投資額は500億円近くに達する可能性がある。

デジタルカメラなどの「目」として働く画像用半導体でソニーは世界最大手。ただ、携帯電話向けのシェアは10%程度にとどまる。高画質の動画撮影機能を搭載したスマートフォン(高機能携帯電話)の需要が増えていることもあり、同シェアを「30%以上に高めることが目標」(斎藤氏)とする。

1ドル70円台の定着で製造業の海外移転が進み、九州の半導体の生産拠点も閉鎖・縮小が相次ぐが、ソニーの吉岡浩副社長は「コア技術は海外に出さない」と強調する。

半導体関連でも、投資先に九州を選ぶ企業は決して少なくはない。

半導体検査の受託会社、テラプローブは九州事業所(熊本県芦北町)に50億円を投じて検査設備を増強。堀場製作所も子会社の阿蘇工場(熊本県西原村)でクリーンルームを7割拡張して半導体製造装置向けのガス・液体制御機器の生産体制を強化する。半導体製造装置などの精密部品を生産するクリスタル光学(大津市)は熊本県西原村の工場を同村内で移転・拡張して来年4月に稼働させる。

海外の生産拠点との競争に勝てる技術が、九州の半導体産業の生き残りのカギとなるなか、自治体も企業の研究開発支援に力を入れている。

研究開発を支援

福岡県は今春、同県糸島市に「三次元半導体研究センター」「社会システム実証センター」を開設した。前者は半導体の高密度化、後者は電子機器への組み込みに向け、試作などで研究開発型の中小・ベンチャー企業を支援する。「実力のある企業を育て、県内に工場を建ててもらう」(商工部)狙いだ。

同県は2000年度に先端半導体の研究開発拠点の集積を目指した「シリコンシーベルト福岡プロジェクト」を始めた。約10年間は半導体の設計支援に取り組んだ結果、同県内に事業所を持つ研究開発型の半導体関連企業は、3月末時点で225社と、スタート時の10倍超に増えた。両センターの開設で、支援範囲を生産や販売に近い分野まで広げ、企業の成長を促す。

研究開発拠点の集積をはかったのは「生産拠点は景気動向に雇用などが左右されやすい」(商工部)ため。生産拠点の閉鎖・縮小が現実の問題となったなか、高度な研究開発機能を備えた「シリコンアイランド」への転身が、九州の半導体産業にとって今後の課題となりそうだ。

小玉祥司、高橋伸夫、三宅一成、黒井将人が担当しました。

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