諫早湾干拓、二審も5年の開門命令 福岡高裁
3年猶予 裁判長「堤防閉めきりは漁業行使権の侵害」

2010/12/6付
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諫早湾干拓、二審も5年の開門命令(テレビ東京)

諫早湾干拓、二審も5年の開門命令(テレビ東京)

有明海の国営諫早湾干拓事業を巡り、長崎、佐賀、福岡、熊本各県の漁業者が国に対し、潮受け堤防排水門の開門などを求めた訴訟の控訴審判決が6日、福岡高裁であった。古賀寛裁判長は「堤防閉めきりは漁業行使権の侵害」として、原告の請求を認めた一審・佐賀地裁判決を支持、改めて5年間の常時開門を命じた。着工から20年余り。沿岸の漁業者らを揺さぶり続けた大規模事業は重大な見直しを迫られる可能性がある。

判決は開門時期については一審と同様「判決確定の日から3年間猶予するのが相当」とした。

一審に続いて潮受け堤防排水門の開門を命じる判決に、垂れ幕を掲げ喜ぶ原告側弁護士と支援者ら(6日、福岡高裁前)=共同

一審に続いて潮受け堤防排水門の開門を命じる判決に、垂れ幕を掲げ喜ぶ原告側弁護士と支援者ら(6日、福岡高裁前)=共同

事業の目的は高潮などの災害防止と干拓地での大規模な営農。1997年に有明海内の諫早湾の奥を潮受け堤防で閉め切り、農地と農業用水に使う淡水の調整池を整備した。直後から湾内や有明海で赤潮の発生が多発し、漁獲量が減少。漁業者は、潮受け堤防の南北2カ所にある排水門の開放などを求めて訴訟を続けてきた。

古賀裁判長は判決理由で、「堤防閉めきりと、諫早湾とその付近での漁業被害との間の因果関係を肯定するのが相当」と述べ、「原告らは生活の基盤にかかわる漁業行使権への高度な侵害を受けている」と認定した。

1997年4月、諫早湾干拓事業で次々と鋼板が落とされ、潮の流れがせき止められた=共同

1997年4月、諫早湾干拓事業で次々と鋼板が落とされ、潮の流れがせき止められた=共同

国側が主張していた潮受け堤防の防災機能や、開門による営農事業への悪影響については「防災機能は限定的で、営農にとっても必要不可欠とはいえない」と指摘。「常時開門しても、防災上やむを得ない場合には閉じることで、防災機能を相当程度確保できる」と述べ、「堤防閉めきりによる漁業行使権の侵害状態は違法」と断じた。

08年6月の一審・佐賀地裁判決は、諫早湾内と湾口付近について、干拓事業と漁業不振の因果関係を認定し「有明海全体の漁業にも影響を及ぼしている可能性があり、中長期の開門調査をすべきだ」と付言。さらに、「開門による農業や防災への影響は代替工事で補える。漁業被害より優越するものではない」と判断した。

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