東京計装、うるまで流量計生産 首都圏の電力不足警戒
沖縄県は2日、同県うるま市の特別自由貿易地域(特自貿)に流量計・液面計メーカー、東京計装(東京・港、杉時夫社長)が進出すると発表した。東日本大震災の影響で今夏は首都圏などで電力不足が見込まれており、同社は横浜工場で手掛ける超音波流量計など一部計測機器の製造を沖縄に移管、生産拠点を分散させる。
流量計は半導体製造装置の洗浄工程で薬液の流量を精密に測定・調整したり、ペットボトルの充填量を均一にしたりするのに利用する。このほか製鉄所の溶鉱炉で燃料供給の制御にも使え、幅広い業種の生産拠点で導入されている。
東京計装は特自貿内の賃貸工場(1500平方メートル)への入居を沖縄県に申請、4月28日に承認された。同社は、国内では横浜の2カ所、水戸1カ所の計3工場で計測機器を生産している。首都圏では今夏、電力不足が避けられない見通しで、電力の安定した沖縄への進出を決めた。沖縄工場には計測機器のうち一部製品の生産を移管する。
沖縄工場の初年度の生産額は17億円、5年後には27億円を目指す。横浜工場から13人を配置転換、5年目までに地元から5人程度を採用する計画だ。
製品の出荷先は国内のほか、米国、中国、韓国など。那覇空港の国際貨物基地(沖縄ハブ)を活用し、納入までの時間の短縮やコスト削減を見込む。
「保税地域」に指定されている特自貿に進出することで、海外から原材料を輸入して沖縄工場で加工後、製品を海外に輸出する場合には関税や消費税が免除される。投資税額控除など税制優遇措置も利用できる。
東京計装は昨年10月、うるま市に子会社「琉SOK」を設立。流量計メーカーのアツデン(東京・葛飾)の協力も得て、特自貿内の賃貸工場で流量計製造に必要なセンサーなどの生産を始めている。
東京計装は1954年設立。10年3月期決算の売上高は127億円。