北陸の企業・自治体、中国消費市場に熱視線 アンテナ店など

2010/7/1付
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北陸3県の企業や自治体が、中国の消費市場に熱い視線を注いでいる。急速な経済成長により消費者の所得水準が高まっているためだ。上海やその周辺の都市で小売店や飲食店の出店が相次いでおり、北陸の地場産品を売り込む動きも活発化している。

中国・江蘇省の蘇州。観光客も多いショッピング街「十全街」に今年4月末、女性用の下着やバッグなど、北陸のメーカーの製品を中心に扱う雑貨店「素晴屋」がオープンした。連日、多くの地元住民が来店しており、日本製品への関心の高さがうかがえる。

出店したのは、建設機械用部品メーカーの日本エー・エム・シー(日本AMC、福井市、山口康生社長)。「国内の建機分野は今後大きな伸びは期待できない」(水野和章・新規事業部部長)と判断し、建機ビジネスの現地パートナーと組み、国内でも未経験の小売りに参入した。

素晴屋は中国で年内に4店を出店する予定。13年前に建機用部品の輸出で中国に進出して以来、築き上げてきた物流網や決済機能が同社の強み。「中国市場に興味はあるが代金回収などが心配という国内メーカーの声にこたえる」(水野氏)。

ネット通販でも

JR金沢駅前の居酒屋「四分一(しぶいち)」など和食店を展開する台場(金沢市)の麻井修社長は、このところ金沢と上海を往復する日々が続いている。8月に高級ブティックが並ぶ上海のファッション街、准海路に床面積500平方メートルの本格的な日本料理店の開業を控えているためだ。同社にとって初の中国進出。今後5年間に30店を展開する計画。

自治体もこのところ、中国の小売市場進出を狙う企業の支援を強化している。富山県は上海で5月上旬に、富裕層が多く住む「新天地」の高級マンションの地下1階に、県内特産品を販売するアンテナショップを開設した。

福井県は、楽天と中国の検索大手の百度(バイドゥ)が今秋設立する合弁会社の中国語サイトで、2011年前半をメドに、食品や繊維製品、眼鏡などの県内産品の販売コーナーを開設する計画だ。

北陸企業が中国に注目し始めたのは、言うまでもなく成長する巨大市場を狙ってのことだ。08年に販売額で日本を抜いた中国の小売市場は、09年に前年比16%増の164兆円に達した。08年の上海市の1人当たり国内総生産(GDP)は前年比10%増の約1万500ドルと、台湾の約6割の水準に迫ってる。

消費市場の急速な拡大を目の当たりにして、北陸企業も「これまで生産拠点としてみていた中国を有望な消費地とみるようになった」(南保勝・福井県立大教授)。

農産物は壁厚く

自社製品を中国に輸出できれば、国内工場の設備の稼働率も上がる。

南部酒造場(福井県大野市、南部隆保社長)は、杭州市の酒類卸業者から日本酒1300リットル(一升瓶に換算して700分)の注文を受け、今秋出荷する予定。中国での販売が軌道に乗れば、現在80%程度の設備稼働率がほぼ100%に高まる。「高級な酒の生産に特化できるようになり、品質アップをアピールできる」(南部社長)。

課題もある。例えば偽物対策。日本酒製品でも「人気のある銘柄は、ラベルのついた空き瓶に中国産の酒を入れた製品が出回っている」(南部社長)。中国で売り出す時点で、既に現地業者に商標を登録されていることもあるという。

北陸3県が本命視している農産物は、香港や台湾の消費者には人気だが、中国本土への輸出は停滞している。北陸で生産量の多いコメは、輸出自体は認められているが「(病害虫を駆除するための)薫蒸など、中国側が課す条件が厳しく、コスト面で実質的に輸出が困難」(福井県農林水産部販売開拓課)という。当面、食品分野の市場開拓は加工品に限定せざるを得ない。

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