福井県の若狭塗センター、廃材使った塗りばし開発

2010/8/28付
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塗りばし製造の若狭塗センター(福井県小浜市、河嶋央社長)は、関西電力子会社の関西電子ビーム(大阪市)、福井大学と共同で、材料の切れ端を使って再び塗りばしを作る技術を開発した。電子線を照射して材料の性質を変え、塗料のはがれを解消する。製造コストなどを検証し、11年4月以降の早い時期に発売する。3~5年後に月30万膳の販売を目指す。

小浜市の地場伝統産業である「若狭塗りばし」は通常27.5センチの長さの材料を使う。このうち5~11センチは塗料を塗る際に職人が持ったり機械に固定したりする部分で、はしの完成後は焼却処分している。若狭塗センターの場合、処分する切れ端は月10~20トンという。

再生塗りばしは、切れ端を砕いた木粉を樹脂と混ぜて固めて木地を成形する。木地は切れ端が出ないよう完成品の長さと同じにして、再び塗料を塗って商品にする。

ふだん使用している塗料を新材料に塗ると、はがれて定着しない問題があったが、関西電子ビームと福井大大学院工学研究科の堀照夫教授との共同研究で、材料に電子線を照射すれば、分子構造が変わり、塗料が定着することを突き止めた。

堀教授は「実用化するうえで技術的な問題はない。後は経済性の検証だけだ」と話している。

今後、木を51%以上使うことを前提に木紛と樹脂の最適な配合比率を検討する。食洗機を使用できる強度や耐久性の検証など、商品化への最終確認を行う。

既存の塗料や製法をそのまま使うことができ、「従来とほぼ同等のコストで生産できる」(河嶋社長)見通しだ。

関西電子ビームは、福井県美浜町に電子線照射施設を整備中で、来年春に本格稼働する。

若狭塗センターは同施設の本格稼働を待って、まず個人向けに量販店などで既存の売れ筋商品と同等の1膳300~500円で発売する考えだ。続いて外食チェーンなど業務用市場も開拓する。

生産が軌道に乗れば、再生技術を他の若狭塗ばし業者にも開放する。各社の共同出資で再生塗りばし専門会社を設立し、産地全体で環境に配慮した若狭塗ばしをブランド化することを目指す。

今回の再生塗りばし開発は若狭湾エネルギー研究センター(福井県敦賀市)の「嶺南地域新産業創出モデル事業」に採択され、エネ研から330万円の補助を受けた。

若狭塗センターは若狭塗ばしメーカー最大手で、09年8月期の売上高は約13億円。従業員数は約80人。

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