2019年5月26日(日)

中心街、戻らぬにぎわい 活性化法活用の近畿自治体

2012/4/28付
保存
共有
印刷
その他

近畿の自治体で中心街へにぎわいを集める「コンパクトシティー」のまちづくりが苦戦している。改正中心市街地活性化法を活用した国の支援で集客施設の整備やイベントなどを進めたものの、数値目標の達成が難しい例が出てきた。郊外や他都市との競争が激しく、活性化の特効薬になりきれていない。

和歌山市では3月末にホテルや住居などからなる「けやきガーデン」が完成した

和歌山市は2007年8月、中心市街地活性化基本計画が近畿第1号の政府認定を受けた。今年3月末で4年半余りの計画期間が終了したものの、3項目の数値目標の達成は難しい状況だ。回遊性を示す休日の通行量は2.3倍に増やす目標に対して、実際は横ばい程度にとどまりそうだ。

■徒歩の移動遠く

市はJR和歌山駅から南海和歌山市駅までの約3キロのエリアを中心街に位置付けた。徒歩で移動するには遠いのが課題だ。10年には観光レンタサイクルが始まったが「イベントを開催しても中心街に人が流れない」(同市)という。

3月末に市街地再開発事業として、約36億円をかけた商業・住居などの複合施設「けやきガーデン」が完成した。市は今年度、中心街の将来構想を検討するなど、集客力の回復に向けた対策を継続する。

08年3月に認定を受けた兵庫県宝塚市は今年3月に計画期間が終わった。宝塚駅周辺施設のバリアフリー化などに取り組んだ。小売業年間販売額を増やすなどの目標達成は困難な見通しだ。市は集客イベントの支援などにぎわいづくりの取り組みを続ける。

尼崎市は13年3月までの計画で、阪神尼崎駅周辺で空き店舗対策などに取り組む。休日の歩行者通行量や小売業の年間販売額など3指標を掲げるが「目標達成は厳しい」(同市)という。大阪市内の新しい百貨店などに消費者が流出した。

■長期戦を覚悟

琵琶湖という観光資源を擁する大津市も08年7月から来年3月までの計画で、JR大津駅や沿岸エリアを対象に活性化を進めている。近代洋風建築の旧大津公会堂など施設整備が終わった。休日の通行量と琵琶湖の観光客数の2指標いずれも目標達成可能な水準という。

ただ市は「数値目標はともかく、現状で市街地に人の流れがなく、活性化できていない」とみている。観光客数を大きく左右するのがイベントや天候だ。市街地には観光施設や飲食店も少なく、安定的に引き寄せる魅力に欠けるという。

市は点在する歴史遺産や町家を新たな観光資源として、リピーターを増やす。「住民の意識改革も必要で、官民挙げて仕組みづくりに取り組んでも5年、10年はかかる」と長期戦を覚悟する。

▼改正中心市街地活性化法 4年程度の中心市街地活性化基本計画を自治体が策定。国が認定すれば再開発や施設整備などの事業費を補助する仕組み。全国第1号の認定は2007年2月の富山市と青森市。近畿2府4県では16市が認定を受けている。

全国的には善戦している自治体もある。山口市が中心街の市営住宅の整備などで居住人口が回復。コンパクトシティーの先進地、青森市も中心街の人口が若干増えている。郊外より雪かきの負担が少ないのも転入を後押ししている。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報