2018年11月13日(火)

広島―東京間、航空会社の逆襲なるか 新幹線シェア伸ばす

2011/12/31付
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全日本空輸のボーイング787投入を機に、航空会社の巻き返しなるか――。広島―東京間の旅客数争いで、航空会社は長年、新幹線に押され続けてきた。シェアは昨年度まで8年連続で低下。12月から空港リムジンバスを増発する社会実験も始まり、反転攻勢の機運は高まっている。ただ航空会社には広島空港のアクセス改善が依然、重い課題として残る。

■最新鋭機を導入

全日空は11月1日、午後に広島と東京(羽田空港)を往復する便に最新鋭機の787を導入。さらに12月10日からは午前中の往復にも採用した。

客室の広さや快適さなどを売り物にした787投入の効果は早速、表れた。12月25日までの広島・東京間の搭乗率を見ると、787が広島を午後7時20分に出発する便が96.2%と唯一の9割台を達成。他の3便も前年同期を10ポイント超上回った。

同社の安永太郎・広島支店長は「前後の便にも波及効果があった」と話す。787の便の一部は予約が取りづらく、前後の便に切り替えた客もいたためとみられる。

空港リムジンバスは渋滞に弱いのが悩み

空港リムジンバスは渋滞に弱いのが悩み

全日空は9月15日に広島就航50周年を迎えたこともあり、“上昇気流"に乗りたいところだろう。広島・東京間で航空機と新幹線の合計を100%とした旅客シェアの推移を見てみよう。

航空機は2002年度に62%と過去10年での最高を記録。その後は「のぞみ」の増発などで攻勢をかける新幹線にシェアを奪われ続け、08年度に追いつかれた。昨年度は46%まで落ち込んだ。

■鉄軌道なし

12月1日に始まった広島空港リムジンバスの社会実験も、航空陣営ではシェアを取り戻すきっかけにしたい。来年2月末まで2路線を追加し、主要ホテルや広島港桟橋を発着場所にしたが……。

12月21日午前9時。「平和大通り線」の乗り場に「現在、山陽自動車道渋滞のため…運行見合わせをしております」との貼り紙が。運転手は「飛行機は待ってくれませんので……」と恐縮しながら応対。2人ばかりの客を広島駅まで無料で送っていくという。

全日空の安永支店長は「人口100万人以上の都市を抱える空港で、鉄軌道(鉄道やモノレール)が乗り入れていないのは広島だけ」と言う。しかも中心市街地の「バスセンター」から遠く、バスの所要時間は時刻表で53分。渋滞による遅延や運休も珍しくない。昨年度は799便が運休となり、全本数の1%を上回った。

リムジンバス以外のルートではJRの白市駅から路線バスが出ており、所要時間は14~15分。渋滞回避のためのバイパスづくりも進んでいるが、アクセスの多様化という観点からは鉄道の乗り入れが望ましいだろう。もっとも仮にJRが路線を延長して空港の利便性が高まれば、ライバルを利することになる。

広島空港を頻繁に利用する企業経営者の一人は、鉄道の乗り入れが最善と言い、「広島県が音頭を取り、JRにもメリットがあるビジネスモデルを提示すべきだ」と話す。空港のアクセス改善で外国人観光客を増やし、JRにも利益をもたらすような構想が求められているのではないか。

(広島支局長 塩田宏之)

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