2019年1月19日(土)

おごと温泉 にぎわい復活 レジャー多彩、食事に近江牛

2012/2/25付
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大津、京都の奥座敷として栄えた「おごと温泉」(大津市)が、家族・グループ客も楽しめる温泉街として、にぎわいを取り戻している。おごと温泉旅館協同組合に参加する10軒の旅館やホテルの若手経営者が「健康」や「食」をキーワードに顧客を引きつける取り組みを打ち出し、2011年の宿泊客数は前の年に比べ8.9%増の48万9487人を記録した。

昨年2月に大津市が開設した、おごと温泉観光公園の来場者数が今月18日、10万人に達した。無料の足湯や観光交流センターがある同公園は、旅館協組が運営する。榎高雄理事長(雄琴荘社長)は「市の初年度予想の6万人を上回る自信はあった」と語った。

最澄が開いたと伝わるおごと温泉。1970~80年代は職場旅行を中心ににぎわった。ただ隣接する風俗街のイメージの強さから家族連れに敬遠され、バブル経済崩壊後は職場旅行も減った。

しかし、最近は異なる。11年の宿泊者数は現在の方式で統計を取り始めた01年以降で最高だった。旅館協組事務局の谷口千恵さんは「法然、親鸞の大遠忌やNHK大河ドラマ『江』の追い風もあるが、一番の理由はおごとの良さが認められてきたこと」と喜ぶ。

成果を上げているのは旅館・ホテルを拠点にしたレジャーの提案。宿泊客にスポーツや近隣の観光スポットなどの見学を勧める。「琵琶湖岸は風光明媚(めいび)。近くには里山も広がる」と旅館協組の金子博美専務理事(琵琶湖グランドホテル副社長)は話す。

各旅館・ホテルは宿泊客に、塩化ビニールの巨大なボールに入って琵琶湖に浮かぶ「ウォーターボール」やレンタサイクルなどを積極的に紹介、人気を集めている。

両手にポールを持って速足で歩く「ノルディックウオーキング(NW)」もできる。北欧発祥のスポーツで、筋力トレーニングや生活習慣病・介護予防として運動人口が増えている。暖灯館きくのやの池見喜博専務は「びわこ成蹊スポーツ大学の先生から紹介された」と説明する。ポールは観光交流センターで1回500円で貸し出す。「繰り返し訪ねてくれる人もいる」(池見専務)。1時間半ほどで歩けるルート(約5キロメートル)を探し、案内絵地図も作製した。

おごと温泉のブランド戦略は特許庁の地域ブランド(地域団体商標)に「雄琴温泉」を登録した06年ごろ始まった。西日本旅客鉄道に働き掛けて08年に最寄り駅「雄琴」の「おごと温泉」への改称も実現。駅前に足湯を設け、温泉マークをもじったPRキャラクター「おごとん」も作った。

今冬は日本酒造りに挑戦した。浪乃音酒造(大津市)で関係者が仕込みから手伝い、地元の棚田で栽培された米を使った純米酒は「おごと温泉」の銘柄で発売。浪乃音の中井孝社長は「キレのある味」と評する。300ミリリットル瓶(630円)は公園の売店に並ぶが「旅館で食事時に楽しむ人も多い」(旅館協組の副理事長を務めるびわ湖花街道の佐藤佑子社長)。

「近江牛」ブランドとの相乗効果も狙う。高品質の近江牛を提供する「認定『近江牛』指定店」に全旅館・ホテルが登録、10年から料理に使っている。金子専務理事は「おごとに来れば必ず近江牛を楽しめる」と語る。今年は琵琶湖特産で脂が乗って美味とされるビワマスもメニューに加えようと企画を練る。

同温泉の宿泊客はここ数年、入湯税がかからない12歳未満の比率が高まっている。佐藤副理事長は「子供連れの家族客が増えたため」と説明する。癒やしの温泉地を目指す試みは温泉のようにジワリと効いている。

(大津支局長 紙谷樹)

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