2019年8月21日(水)

事業者の破綻乗り越え 岐路に立つ郊外街開発(下)
人口増、住民の力も必要

2012/3/28付
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京都市西京区の京都大学桂キャンパス西側の高台に位置するニュータウン「桂坂」。民間の開発事業者の経営破綻を乗り越え、約2600に上る戸建て住宅の区画が来年中にすべて分譲できる見通しとなった。

事業継続で来年中に分譲できる見通しになった桂坂(京都市西京区)

当初の事業者はセゾングループの不動産デベロッパー、西洋環境開発だった。グループ創業者の堤清二氏の肝いりのプロジェクトだった。

開発面積は約130ヘクタールに上る。1983年に事業が始まり、野鳥園や古墳を生かした緑地や公園、植栽があふれる道路を配置し、宅地や戸建て住宅を整備していった。

■土地売却待った

徐々に入居者が増えてきた2000年、激震が走った。リゾート開発の失敗で、西洋環境開発が破綻したのだ。計画していた13街区のうち3街区が未造成で残り、1年間、事業が止まった。

その後、開発はセゾングループの別会社、住宅販売は安田信託銀行(当時)がそれぞれ引き継いだ。07年以降、開発・住宅販売とも不動産デベロッパーの西洋ハウジング(東京)が担う。

同社の東郷寛・執行役員京都支店長は「経営破綻で土地が切り売りされることなく、統一感ある街並みをつくる責任を果たせた」と振り返る。昨年春に13街区目の造成工事を完了し、約60区画を残すだけだ。

足元でも住宅や土地が売れたのは、まちづくりへの住民の参加意欲が強いことも大きい。

桂坂のほぼ全域に宅地の細分化禁止などを盛り込んだ建築協定を結んでいる。無秩序な開発を抑え、閑静な住宅街としての景観を維持するためで、京都市全体の建築協定面積の56%を占める。

今年2月、桂坂の住民は地区内の土地を売ろうとした京都市に待ったをかけた。大きな建物ができて景観が悪化しかねないのを警戒した。桂坂自治連合会の菊池潤治会長は「桂坂は人口約1万1700人。微増でニュータウンでは珍しく減っていない」と胸を張る。

■都心回帰で苦戦

近畿では民間企業の開発も多い。日本生命保険が兵庫県川西市と猪名川町に開発した阪急日生ニュータウンが代表だ。人口減少社会を迎え、郊外開発は軒並み苦戦する。

川西市の能勢電鉄の一の鳥居駅に近い舎羅林山(しゃらりんざん)開発事業(92ヘクタール)は2度の金融機関の破綻で造成が止まったままだ。

94年に大阪府内の民間企業が着工した。ほぼ造成が終わった98年に取引先の日本債券信用銀行(当時)が破綻。別の企業が事業を引き継ぎ、1580戸の住宅を計画したが10年、取引先の日本振興銀行が破綻した。

川西市出身でプロ野球ヤクルトで活躍した古田敦也氏を記念する球場も計画されたが、実現は不透明だ。

郊外のニュータウン開発は住宅の都心回帰もあり、全般的には終息期。開発事業者の民間企業は環境の変化に対応した身の丈にあった開発を進めることが重要だ。

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