「産廃の島」豊島に美術館が開館 再生の象徴に

2010/10/19付
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瀬戸内国際芸術祭の舞台の一つである豊島(香川県土庄町)に17日、「豊島美術館」がオープンした。直島福武美術館財団(同直島町、福武総一郎理事長)が運営する。建築家の西沢立衛氏と現代美術家の内藤礼氏の共同制作による建造物を展示。今月末の芸術祭終了後の観光集客や、産業廃棄物の不法投棄問題に見舞われた同島の地域再生の象徴としての役割が期待される。

「(産廃問題で)痛めつけられた豊島を再生することが一番の目的」。福武美術館財団の福武理事長は豊島美術館の開設の意義を強調する。同財団はベネッセホールディングス会長の福武氏が2004年に設立。近隣の直島(香川県直島町)や犬島(岡山市)などに美術施設を設けている。

新美術館が展示するのは、内藤氏が制作した「母型(ぼけい)」と呼ぶ作品。西沢氏が水滴をイメージして設計した鉄筋コンクリートの建築物の床に186の穴を開け、この穴からわき出す地下水で、空間内に泉をつくり出す。建物の天井には円形の開口部があり、天候や時間によって雰囲気が変化する仕組み。入館料は大人1500円。

同財団は美術館の建設にあたり地元の棚田保存会と協力し、周辺の休耕田を整備。今年3月には6.2ヘクタールの開墾を終え、4月から畑づくりも始めた。周囲の棚田を含めた景観づくりを進める。

財団が04年に開設した直島の地中美術館(香川県直島町)は年間12万人以上が訪れる香川県内でも有数の観光地となっている。香川県の浜田恵造知事は「(豊島美術館は)地中美術館に匹敵する素晴らしい美術館だ」と話す。

瀬戸内海の島々を舞台として7月21日に開幕した瀬戸内国際芸術祭は、予想の2倍以上の数の観光客が訪れている。今月末には会期が終了するが、芸術祭終了後の島々の振興や交流人口拡大などが新たな課題として浮上しており、豊島美術館が県などが打ち出すアートをテーマにした観光振興に大きな役割を担うと期待される。

豊島は1970年代半ばから大量の産廃が不法投棄され、全国的に注目される社会問題となった。00年に県と住民との間で産廃の全量処理に向けた公害調停が成立。今年8月には汚染土壌を水洗浄方式で処理することで正式合意に達し、12年度末までの産廃の全量処理に道筋が付いた。

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