金沢の中心市街、公衆無線LAN整備構想が始動

2011/2/18付
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金沢市の山野之義市長が公約に掲げた中心市街地の公衆無線LAN(構内情報通信網)の整備構想が動き出した。有識者らの委員会で具体的な計画を固め、民間事業者を募る考え。ソフトバンク出身の山野市長は「スピードが求められる」と2011年度の実現を目指しているが、市長自身も利用者やコンテンツなどに明確なイメージはなく、具体的な活用方法については手探りの状況だ。

「議論する我々が思いもよらないビジネスチャンスをもらたす可能性がある」

4日開いた第1回の公衆無線LAN推進委員会(委員長=丹康雄・北陸先端科学技術大学院大学教授)で、山野市長はこうあいさつした。

「配管の一種」

丹委員長は「無線LANは配管の一種です」と説明。議論の最後に「(利用者の)ターゲットを整理し、公衆無線LANにつなげる手順をユーザー目線で考えたい」とまとめた。

市長は「投資は限りなくゼロ円でやりたい」との意向で、ハードの整備主体を民間事業者とすることは固まっている。しかし、主な利用者が居住者なのか、観光客なのか、といったソフト面での基本コンセプトづくりはこれからだ。

公衆無線LANは通信会社が契約者向けに有料サービスを提供している。金沢市の中心市街地にもソフトバンクモバイルの「ソフトバンクWi-Fiスポット」、NTT西日本の「フレッツスポット」などが点在し、パソコンなどからインターネットに高速でつなぐことができる。

金沢市の構想は、公衆無線LANのアクセスポイントを都市インフラとして中心市街地に「面」で広げることだ。

山野市長は「街歩きしながら情報をダウンロードしたり、メールを送受信したりできる。国際会議の誘致でも強みになり、ビジネスチャンスは金沢の元気になる」と期待する。

自治体による公衆無線LAN整備の先行事例としては広島市と山口県萩市のケースがある。

被爆地の広島市は08年以降、平和記念公園と平和大通りで無料で標準規格「ワイファイ」接続ができる。「記憶が新しいうちに平和への思いを発信してほしい」(情報政策課)と、1日限定のパスワードを発行。月間数百件の利用がある。

活用に先行例

萩市は11年度にかけてソフトバンクモバイルが無償貸与するワイファイ機器を市内の店舗など約200カ所に設置していく。同社は店舗向けにワイファイ機器を無償貸与するサービスを開始。萩市は町ぐるみでこれに応募し観光情報のインフラにする考えだ。

金沢市内ではファッション専門店が集積する竪町商店街が昨年12月からソフトバンク貸与のワイファイを稼働させた。

同時にツイッターを絡めた交流サイト「タテマチつぶやきストリート」を立ち上げ、商店街イベントの生中継など新しい販促を模索している。

竪町商店街振興組合の池田広喜副理事長は「テレビや雑誌との『クロスメディア』の販促も企画できるようになった」と手応えを感じている。

ソフトバンクの無償貸与は同社のユーザーでなければメリットがないが、投資費用はほとんどかからない。自治体が自らインフラ整備した広島市もリース機器設置と運営費は3年で約2200万円とさほど大きくない。

むしろ難しいのはニーズやコンテンツの開拓だ。通信サービスに詳しいアイ・オー・データ機器の細野昭雄社長は「公衆無線LANの整備には大賛成だが、あくまでインフラ。なにか仕掛けがなければユーザーが入っていかない」と指摘する。

ソフトバンクの営業マンとしてマーケティング感覚を磨いた山野市長の構想力が試されそうだ。

(金沢支局 表悟志)

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