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地方への機能分散推進、コマツ会長に聞く 本社全面移転は否定

コマツの坂根正弘会長は15日、日本経済新聞の取材に応じ、大卒者を石川県内で採用する「地元採用」を拡大する方針を明らかにした。2011年5月に創業地の石川県小松市に設けた総合研修施設に人材育成の機能を本社から移転したことを挙げ、今後も本社機能の一部を国内の各工場に分散し移転する方向性も示した。一方、本社の全面移転については「考えていない」と否定した。

インタビューに答えるコマツの坂根会長(15日、東京・赤坂の本社)

――コマツは1951年に本社を石川県小松市から東京に移した。

「戦後のコマツが成長するのに東京に本社を置くことが不可欠だったからだ。(3代目社長に)元厚生相だった河合良成氏を迎え、労働争議の沈静化などコマツの再建を図った。戦後復興、高度経済成長期など社会インフラの拡大による建機の受注増を図るため、官公庁の動向を迅速につかむ必要があった」

「(当時は)石川県の企業だというイメージが強すぎて全国から人材を採用できなかった。建機を輸出する港も地元に整備されておらず、(大阪や神戸などの)輸出港に近い場所に工場を設ける戦略だったのも石川県から離れた理由だ」

――現在は地方に本社機能の移転を進める動きを加速している。

「(2000年代初頭に)購買本部を小松市の粟津工場に移転した。11年5月、小松市の創業地に総合研修施設に本社の教育機能を移したことを含め、計150人が(本社などから)石川県に移った。開発部門は大阪工場(大阪府枚方市)に移した。事業所単位で生産と開発を一体にすることが(経営する上で)良いことだからだ。開発部門が工場ごとに分散してもIT(情報技術)の活用で対応できる」

「総合研修施設への利用者数は年間2万7千人。同施設を含む『こまつの杜(もり)』への社会見学などとを合わせると、のべ約9万人が来訪する。国際会議の実施回数も10回を超えている」

――なぜ地方への移転が必要なのか。

「この国の中央集権体制が限界に達し、地方が衰退に向かっている。諸悪の根源は東京一極集中だ。地方は製造工場だけの機能を持つばかりではない。競争力のある工場と開発拠点が地方になければ国内での生産体制を維持できない」

――大卒者の地元採用を始めた。

「(実施1年目の)11年4月に石川県内で採用した5人が入社した。12年4月入社の内定者は12人と年を重ねるごとに増えている。意識的に割合を決めているわけではないが今後も増やす。12年4月の入社式は小松市の総合研修施設で開くことで調整している」

「コマツの給与体系は全国一律だ。住宅購入のコストを比較する事例を見ても、同じ給与では石川の方が良い生活を送ることが可能。石川県で働くコマツ社員の既婚女性1人あたりの子供の数は2.0人。首都圏では0.76人。生活の設計を立てやすいと思い、入社希望者も増えるだろう」

――今後、本社機能を移す計画は。

「新たに移す部門が(具体的に)あるわけではないが、移すことがあれば検討する」

――石川県への本社の全面移転を期待する声もある。

「東京から本社を丸ごと地方に移すのは現実的ではない。建設機械業界や(副会長を務める)日本経済団体連合会など、経済団体の集まりに経営トップが頻繁に集まる。この国の文化と気質が変わらない限り変わらない。(全面移転は)考えていない」

(聞き手は金沢支局 後藤健)

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