ハードル高い「四国新幹線」 財政面など課題山積

2011/8/12付
保存
共有
印刷
その他

四国4県や経済団体、四国旅客鉄道(JR四国)などでつくる「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会」は7月下旬、四国への新幹線の導入を柱とする提言をまとめた。国や自治体の財政難もあり、実現へのハードルは高い。あえて新幹線を掲げるのは将来、四国の鉄道網が維持できなくなるという危機感が背景にある。

提言によると、四国の鉄道利用は1日平均で約24万人と、20年間で約3割減った。沿線人口の減少に加え、高速バスの充実などが影響した。今後、鉄道事業者の自助努力だけでは鉄道網の維持が困難になると指摘する。

これを打開する手段が新幹線の導入による主要路線の高速化だ。具体的には岡山から瀬戸大橋を経由し、四国への新幹線延伸を整備計画に位置付けるよう求めた。山陽新幹線のようなフル規格のほか、レール幅が在来線と同じスーパー特急方式も検討する。事業費などは明らかにしてない。

四国で利用客が多い予讃本線や土讃本線などが候補となる。JR四国の泉雅文社長は「長期的に四国の鉄道ネットワークを維持するには抜本的高速化が欠かせない」と指摘する。北陸や九州などの他の地域で新幹線の整備が進むだけに「四国がほかの地域と競争力を持つためにも新幹線が必要だ」と訴える。

四国の主要路線がスーパー特急になった場合、平均的な速度にあたる列車の表定速度は時速150キロ(現在の特急は約80キロ)になる。提言では所要時間の試算を示した。松山―新大阪間が3時間39分から2時間1分に、高松―松山が2時間13分から1時間4分にそれぞれ短縮するという。

実現すれば観光やビジネスの人の流れが大きく変わる。特に空港などから離れた観光地のアクセスが改善し、集客拡大が期待できる。

例えば、清流で有名な四万十川などがある四国の西南地域。新大阪から新幹線と在来線の特急などを乗り継いで5時間以上かかる。交通が不便で旅行を敬遠する人が多いと見られる。

過去にも岡山を起点に高知や松山などに向かう新幹線の構想はあった。瀬戸大橋は新幹線が走行できるように設計されており、橋の前後にあたるJR西日本の児島駅とJR四国の宇多津駅周辺にはその用地もある。ただ利用するメドは立っていない。

提言をまとめた会議では一部の自治体から「新幹線は時期尚早ではないか」との声も上がった。導入について、四国の住民らの機運が高まっていないためだ。

現段階では、新幹線の導入はあくまで「夢」にすぎない。これは自治体やJRなど関係者も承知している。ただこのまま主要な路線の高速化を進めなければ、利用客の減少を食い止めるのは難しいのも事実だ。

提言をきっかけに、四国の新幹線の必要性を含めた四国の鉄道の将来像を考えることが必要なようだ。

初割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が最長2月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]