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石川の伝統的工芸品生産額、初の200億円割れ 09年度

石川県の2009年度の伝統的工芸品の生産額が合計191億2800万円と前年度に比べて7.0%減少し、記録のある1974年度以降で初めて200億円を下回った。輪島塗、加賀友禅などの業界がリーマン・ショック以降の販売不振から立ち直っておらず、高額品が苦戦している。自治体が産地支援を強化しているが、旧加賀藩からの「工芸王国」の復権の展望は開けていない。

伝統的工芸品産業振興法(伝産法)で指定された北陸3県の21品目について、日本経済新聞が産地組合から09年度の生産額を聞き取り、伝統的工芸品産業振興協会(東京・豊島)などがまとめた08年度までの生産額データと比較した。北陸3県の09年度の生産額は6.8%減の229億8300万円だった。

北陸3県の生産額の8割強を占める石川県は、4年連続で減少した。バブル経済期の高額消費によって同県の生産額がピークを迎えた90年度の約3割の水準まで落ちている。01年度に300億円の大台を割ってから8年で、さらに約100億円が減少した。

品目別では九谷焼が2桁減。生活スタイルの変化による花器などの需要減や消費者の節約意識のほか、卸業界には人間国宝の人気作家、徳田八十吉さんの死去の影響を指摘する声もある。高級呉服の加賀友禅も大手の呉服小売店の経営破綻などで44.9%減になった07年度以降、回復の兆しが見えない。

09年度の生産額が3割近く落ちた牛首紬(つむぎ)の産地組合は「一般の消費者が手を出せる価格は30万円が精いっぱい」とみている。

伝統的工芸品の従事者数も減少に歯止めがかからない。09年度は3県合計で9595人と初めて1万人を下回った。九谷焼の場合、「駆け出し職人の給料は月10万~12万円程度」(石川県立九谷焼技術研修所)といい、各産地とも後継者が集まりにくい。

一部自治体は伝統的工芸品の新しい支援スタイルを模索する。石川県輪島市は基幹産業である輪島塗の器などを購入する飲食店や旅館に費用の4分の3を直接補助する制度を導入。金沢市は09年度に設立した加賀友禅技術振興研究所を拠点として、加賀友禅の技術を応用した洋装やインテリアといった新分野の開拓を強化している。

生産者主導の取り組みでは、九谷焼の若手の創作集団「九谷塾」がカブトムシやカタツムリのオブジェ作品で脚光を浴びたほか、大徹八井漆器工房(輪島市)が食器洗い機で洗浄できる輪島塗の椀(わん)を売り出すなど、新しい需要を開拓する動きがある。

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