水産研屋島など、水替え不要の魚養殖システム開発

2011/11/8付
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独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所屋島庁舎(高松市)は陸上で魚を養殖できるシステムを開発した。水を循環させながら浄化、殺菌するため、排水する必要がないのが特徴。実証実験では疫病の発生防止や生産性向上などの成果が出ており、幅広い分野からの陸上養殖への参入を期待している。

開発には廃液処理剤開発のアクト(徳島県吉野川市)、香川高等専門学校(高松市)、阿南工業高等専門学校(徳島県阿南市)、徳島県立工業技術センター(徳島市)、徳島大学なども協力。2010年11月、研究会を立ち上げた。

開発した「閉鎖型循環飼育システム」は飼育水槽と、水を浄化するための泡沫(ほうまつ)分離装置、生物ろ過装置で構成する。

泡沫分離装置で、水面に気泡をつくり、浮遊する小さなゴミを除去する。海で「波の花」と呼ばれる波打ち際に立つ気泡がゴミを吸着する作用を再現した。

生物ろ過装置で、セラミックに付着したバクテリアの働きで、魚のフンや尿に含まれるアンモニアなど有害成分を分解する。コーヒーサイホンの原理を利用し、ろ過装置の水位を自動的に上下させることでバクテリアを活性化させる。これは、自然の砂浜が行っている作用と同じだという。

水産研屋島庁舎は循環飼育システムを装着した50トンの水槽で、トラフグやキジハタなどの海水魚を2年以上飼育している。水の入れ替えをしないため、養殖の最大の敵であるウイルスが混入するリスクが低く、これまでにウイルスが発生したことはないという。

マダイは1トンの水槽で100キログラム養殖できる。これはいけすを使った養殖の5倍以上。通常の養殖方法ではボイラーなどで水温を一定以上に保つ必要があるが、循環システムでは水温は下がりにくく、灯油代を大幅に削減できる。稚魚1尾あたりの飼育コストは7.1円で、従来より4割削減できるという。

水産研はシステムの費用を50トン水槽で150万~200万円に抑える方針で、ビジネス参入を目指す企業に積極的に技術移転する。

水産物の安定供給を目指した陸上養殖のシステム開発の取り組みは、排水処理が最大のネック。排水は処理費用がかかり、水の交換は作業負担が重い。開発を主導した山本義久・水産研養殖グループ長は「排水不要のこのシステムを使えば、耕作放棄地や廃トンネル、炭鉱跡などのほか、都心の地下でも養殖ができる」と話している。

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