炭素繊維と液状の樹脂、一括押し出し成型 フクビ化学が技術

2011/12/7付
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フクビ化学工業は炭素繊維と液体状の樹脂を同時に押し出し、長尺の炭素繊維強化樹脂(CFRP)を製造する技術を開発した。炭素繊維と樹脂を組み合わせる製造法は多くの企業が手がけるが、押し出し成型に成功したのは初めてという。この手法を使えばCFRPに長さの制約がなくなり、複雑な形状でも成型が可能になる。現在、立体構造の部材を一度に作る技術の確立を急いでおり、今後、自動車の車体などの大幅な軽量化につながると期待されている。

フクビ化学は住宅の内外装資材メーカーとして、樹脂と異種素材を一度に押し出し成型する「異形共押し出し」と呼ぶ製造方法を得意としており、今回もこの製法を応用した。新たに開発したのは、異種素材として炭素繊維を使う技術だ。

繊維メーカーから仕入れた、ロールに巻かれた糸状の炭素繊維と、熱を加えると柔らかくなる熱可塑性樹脂を同時に金型に入れ、押し出し成型する。同社によると「樹脂と炭素繊維の共押し出しはおそらく国内初」(技術開発部)。炭素繊維に樹脂を押しつけて一体化させたシートをプレス加工する従来の方法に比べ、大きな部材を一気に作れるのが強み。実際、この方法で作る部材は、炭素繊維のロールの長さいっぱいまで伸ばせる。

今回製作したのは幅約3センチメートル、厚み約0.5ミリメートルのテープ状のCFRPで、カーシートのフレームなどの補強材などとして利用できる。より大きな金型を使うことで、太い部材も製造が可能。例えば自動車のドアの内部に装着する、側面衝突から乗員を守る補強材(サイドドアビーム)といった使い方ができる。炭素繊維が含まれる樹脂は、熱による膨張がほぼゼロなのも長所だ。

現時点では単純な形状の部材しか作れないが、押し出し方式は本来、様々な形状を柔軟に作れるのが利点。数年以内の実用化を目指し、より複雑で立体的な金型に原材料を通し、炭素繊維を樹脂内にまんべんなく分布させる方法を開発中だ。

CFRPの重量は同じ強度、大きさの鉄に比べ、4分の1~5分の1程度。この方法が確立すれば、自動車の車体など、強度と軽量化の両立が求められる分野での利用が見込める。

製造する部材ごとに金型を起こさなければならないため、自動車以外では鉄道車両や家電など、付加価値が高く大量生産する工業製品を想定している。

フクビ化学は原料に石油を使う樹脂製品が売り上げの大半を占めるため、業績が原油価格高騰の影響を受けやすい。木粉や古紙などを混ぜた樹脂など、「原油価格の上下に影響されにくい製品を増やす」(八木誠一郎社長)ことに取り組んでおり、「共押し出し」も炭素繊維で強化することで、結果的に樹脂の使用量を減らせるとみている。

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