日本車両リサイクル、鉄道車両を無料で解体 12年8月操業
日本車両リサイクル(富山市、高倉可明社長)は4日、高岡市内の日本製紙伏木工場跡地を取得し、新工場を建設して乗り出す鉄道車両解体事業の計画を発表した。2012年8月に操業を始める予定で、老朽化した電車を全国から解体費無料で受け入れる。
日本製紙などから買い取った敷地約16万5千平方メートルにある建物を解体、整備した後で工場を建設する。2008年9月に閉鎖されるまで使用されていたJR伏木駅から同工場への引き込み線を再開し、解体車両を線路輸送で直接持ち込めるようにする。JR貨物、伏木海陸運送と連係することで合意済みという。
鉄道車両専用の解体工場は日本で初めて。同社は「車両を工場まで運ぶ費用を負担してもらえれば、解体費は受け取らない」と説明している。
同工場は電車や列車のほかに、大型バス・トラック、漁船の解体も手掛け、中古部品や鉄くずなどを輸出する。初年度は売上高18億円、3年後には年60億円を見込む。
同社は鉄やアルミニウムのリサイクルを手掛ける豊富(とよとみ)産業グループ(富山県滑川市、高倉康社長)が、鉄道車両解体事業に乗り出すために09年6月設立した。新工場棟は建屋で覆って騒音や振動を防止する。これまで1週間かかっていた車両解体を2時間で破砕し終える独自開発の機械を導入する。
JR、私鉄を合わせ全国で年間2千~3千両が廃棄されるが、東南アジアなどへの中古車両輸出は激減。現在は電鉄各社が解体業者に解体費を支払って処理している。