2019年9月17日(火)

宝塚100周年の新生ベルばら オスカル、りりしく変身

2014/5/17 6:30
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宝塚歌劇団宙(そら)組トップスターの凰稀(おうき)かなめが、ミュージカル「ベルサイユのばら」で主役オスカルを演じている。要は、革命に立ち向かう雄々しさと、恋人アンドレの前でみせるかれんさをどう演じ分けるか。りりしい中に、妖しい色気が漂う新たなオスカル像を打ち出す。

「ベルサイユのばら」でオスカルを演じる凰稀かなめ(兵庫県宝塚市)

「ベルサイユのばら」でオスカルを演じる凰稀かなめ(兵庫県宝塚市)

ベルばらは1974年、植田紳爾の脚本・演出で初演。これまでに477万人を動員した宝塚最大のヒット作だ。再演のたびスターに合わせて脚本が書き換えられてきた。

男装の麗人を主人公にした1番人気の「オスカル編」や「フェルゼン編」などのバリエーションがある。今回は植田が「歌劇団創立100周年にふさわしい作品にする」と気合を入れて臨む、新たな「オスカル編」となる。誕生シーンなどを加え、生涯を丁寧に追う。

「今宵一夜(こよいひとよ)、アンドレ・グランディエの妻に」。衛兵隊のパリ進駐を控えた夜。オスカルは邸宅でアンドレの愛を初めて受け入れ、抱き合う。2人が愛を成就させる名場面だ。

フランス革命を縦糸、2人の悲恋を横糸に人模様があやなす。凰稀は甘いラブシーンも、激しい戦闘シーンも声のトーンや身のこなしを大きくは変えない。全編を通してキリリと引き締まった表情が印象に残る。

「私は15年男役を追究してきたから、座ると自然に足が開く。男として育てられたオスカルにも、こういう部分は共通するはず」と自らが考える人物像を提示。稽古でも「もっと女の気持ちになって」と指示する演出家と激しく意見を闘わせた。「男性演出家の目線ではないオスカルをつくる」と力を込める。

凰稀がこだわる理由は他にもある。池田理代子が書いた原作漫画のイメージに近づけたかったからだ。再演に当たり、じっくり読み返した。「原作のオスカルはかなり男前。だから女性ファンは憧れる」とみる。

昨年は月組と雪組が再演し、それぞれ龍真咲と早霧せいなが演じた。凰稀は「全く違うオスカルになる」と独自の解釈に自信をにじませる。その演技は至って自然体。力強いたたずまいが、中性的な色気を引き立たせる。

昨年、凰稀は雪組の「フェルゼン編」に期間限定で出演。「オスカルが乗り移ったよう」と評判をとった。植田は「長年男役をやっていると、男のような声になってしまう。だが、かなめは声色を変えなくても、自然に男装の麗人が演じられる」と厚い信頼を置く。

宝塚歌劇に詳しい演劇ジャーナリストの薮下哲司氏は歴代のスターたちを振り返る。「89年の安寿ミラはサラリとした人物描写で話題になった。91年の涼風真世は中性的で『究極のオスカル』と呼ばれたが、原作とは少しイメージが違う。初演の榛名由梨以降、多くのスターがそれぞれの個性で演じ、決定版はない」と指摘する。

その上で、宙組公演について「男と女をしっかりメリハリを付けて演じ分けるのが宝塚の正統という見方もある。だが、凰稀のように女性の部分を抑えた演技は原作に忠実で魅力的。新しいオスカル像が生まれた」と評価する。公演は宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で6月2日まで、東京宝塚劇場(東京・千代田)で6月20日~7月27日。

(大阪・文化担当 佐々木宇蘭)

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