2019年1月19日(土)

中小企業、世界に活路 パネルベイ 失地回復なるか(下)
高い技術で独り立ち

2012/3/30付
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「世界に活路を開く」――。液晶パネルの製造装置を開発する淀川ヒューテック(大阪府吹田市)は4月に韓国・京畿道で新工場を稼働させる。約6億円を投じて、建屋や生産設備を整えた。韓国での生産能力を現在の2倍に高める計画だ。

同社は偏光板を液晶パネルの両面から同時に貼り付ける偏光板貼り付け装置で世界の7割のシェアを握る。日本メーカーによる液晶パネルの大型化や大量生産を支えてきたが、近年は液晶パネルの価格競争に苦しむ国内大手からの受注は激減。その一方で、売上高の大半は韓国、中国が占めるようになった。

■韓国生産を強化

韓国での生産を強化することで生産コストを低減するとともに、「顧客の技術的な要望にきめ細やかに対応する"日本式"で世界シェアを死守する」(小川克己社長)。

錦城護謨にはスマートフォン向けの受注が急増している(大阪市八尾市)

錦城護謨にはスマートフォン向けの受注が急増している(大阪市八尾市)

冷蔵庫や洗濯機といった白物家電から薄型テレビに代表されるデジタル機器へとパナソニックやシャープの収益の主役が移っても、関西の中堅中小を中心とした地元企業はその部品調達を支えることで収益を確保してきた。それがひいては関西経済全体の底上げにつながってきた。

だが円高などで電機大手の国内生産は縮小の一途。地元企業はパネルベイに代表される国内大手との取引には頼れなくなった。そこで生き残りのためにこれまで培ってきた高度な製造や加工技術を、新しい世界で生かそうとする"脱パネルベイ"の動きが加速する。

■ベトナムで買収

家電の防水部品などを開発する錦城護謨(大阪府八尾市)はスマートフォン(高機能携帯電話)の電池カバーの裏側にある防水用のパッキン事業に本格参入した。プラスチックの表面に薄いシリコーンを輪のように取り付ける独自技術を開発した。医療など新たな用途開発にも余念がない。

半導体や液晶パネルの洗浄用スプレーノズルなどを製造するいけうち(大阪市)は冷却用途のノズルシステムを開発した。特殊ノズルで微細な霧を発生させ、気化熱を利用して空調の室外機などを直接冷却する。東日本大震災に伴う電力不足で、節電を迫られている全国のメーカーからの問い合わせが殺到しているという。

液晶テレビ向けの電子部品商社である黒田電気は自動車部品事業に進出した。昨年6月に約5億円を投じてベトナムの自動車部品メーカーを買収。今年5月には中国で自動車向けのプレス金型工場の操業を開始する。「液晶テレビの苦境を自動車部品の海外展開で巻き返したい」と黒田信行専務は意気込む。

「アジアを中心に日本の中堅中小企業が持つ技術を評価して誘致する動きも出ている。中堅中小向け工業団地も増えており、海外進出しやすい環境ができている」とりそな総合研究所の荒木秀之主任研究員は指摘する。

28日にはベトナムで工業団地を開発するベカメックスIDC社が、大阪市内で関西の中小企業向けに工場誘致の説明会を開いた。グエン・バン・フン取締役会会長兼社長は「設備投資資金の問題から海外移転が難しかった企業でも進出できるよう、レンタル工場も用意した」と、中小企業を優遇する姿勢を強調した。

関西経済はパナソニックやシャープなどの大手を頂点に、中堅中小を含めた地元企業が下請けの形で支えながら共存共栄で発展してきた。しかしその構図が崩れた今、大手同様に21世紀の新たな発展モデルを見つけ出すことが必要になる。国内から海外へ、電機産業から新規分野へ、下請けを脱して新しい世界に飛躍する中小企業が関西経済浮揚のカギを握る。

小倉健太郎、渡辺淳、池田拓也、丸山修一が担当しました。

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