任天堂、初の連結赤字 12年3月期最終432億円
任天堂が26日発表した2012年3月期連結決算は、最終損益が432億円の赤字だった。赤字転落は1962年の上場以来で初めて。13年3月期は業績の足を引っ張っていた携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」が期の半ばに黒字化するものの効果は限定的で、最終損益は200億円と小幅な黒字にとどまる見通し。業績の本格回復には時間がかかりそうだ。
12年3月期の売上高は前の期比36%減の6476億円だった。最終赤字は1月に発表した見通しに比べると約220億円縮小した。為替レートが円安に振れ、外貨建て資産の評価損が縮小したため。年間配当は350円減配の100円とした。
家庭用ゲーム機「Wii」の販売台数は前の期比35%減の984万台、3DSは期初予想から15%少ない1353万台だった。岩田聡社長は記者会見で3DSについて「たくさんの反省点がある」と述べ、ハードの価格が高かったことや有力ソフトがそろっていなかったことを挙げた。携帯電話などで手軽に遊べるゲームが増え、ゲーム専用機離れも進んだとみられる。
13年3月期の売上高は前期比27%増の8200億円、営業損益は350億円の黒字(前期は373億円の赤字)への転換を見込む。最終損益は上期に限れば200億円の赤字で、通期の黒字額も09年3月期の最高益(2790億円)に比べると10分の1に満たない低水準にとどまる見通し。
今期の3DSの販売台数は同37%増の1850万台を見込む。岩田社長は「(量産効果により)期半ばには逆ざやを解消するメドが立っているが、利益を一気には上げられない」と述べた。新型の家庭用ゲーム機「Wii U」は「予定通りに開発が進んでおり、年末商戦に投入できる」という。
3DSは1万円の大幅値下げにより国内の累計販売数を1713万台まで伸ばしたが、主力の欧米市場では販売をけん引する有力ソフトの不足から苦戦。値下げによる採算悪化も響いた。
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