大学知財戦略 進む海外連携 阪大や京大、関西TLO

2012/3/2付
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大学の知的財産を海外に売り込もうと、海外の機関と連携する動きが関西で広がっている。大阪大学は米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)と協力する。米国での販売に向けて、保有する特許の価値の評価を受ける。関西の大学の知財を扱う技術移転機関、関西ティー・エル・オー(TLO)はドイツのTLOなど大学を含む海外5機関と連携する。知財が大学の収益の大きな柱になるとみて、海外市場の獲得を目指す。

阪大はUCSD内の事業化支援組織「グローバルコネクト」に阪大の保有する特許について産業化の実現性を見極める査定を依頼した。提示する分野は医療、情報技術、環境エネルギーなど。3月末までに先行してまず2件実施する。

技術を事業に

グローバルコネクトはUCSDの研究センターやベンチャー企業などと連携して技術の商業化を支援する組織。技術を事業に育てるノウハウがある。阪大は有望な知財の産業化に向けて支援を受け、国内外にこだわらず技術移転の成功例をつくる狙いだ。

京都大学は米エール大学と事業提携交渉を進めている。新型万能細胞(iPS細胞)関連の技術を軸に、再生医療や創薬などの分野で共同研究のほか、特許の相互利用を進める。9日に京都市内で協議する予定。エール大との提携は、実現すれば国内で初めてとなる。

関西TLOは2月にドイツのミュンヘン大学などのTLO「バイエルン州広域TLO」と提携した。昨年にフィンランドやニュージーランド、ハンガリーの大学とも契約しており、海外5機関と協力する体制を築いた。

互いに知財紹介

お互いの知的財産をそれぞれの地元企業に紹介し合う。関西TLOの扱う国内大学の技術を海外に売り込んでライセンス料の獲得を目指す。

関西TLOは京大のほか和歌山大学、京都府立医科大学、奈良県立医科大学、九州大学の計5大学の知財の営業などを請け負う。ライセンス先を探す営業活動だけでなく、大学が特許を出願する前の相談なども受ける。

国内の大学の特許料収入はまだ少ない。文部科学省によると、2010年度の国内大学の特許権実施料収入は前年度から約62%増えたが約14億5千万円にとどまる。京大は2位だが約1億5000万円、阪大は7位で約6000万円だ。

米国では大学が技術移転を積極化した結果、特許料収入は急拡大。スタンフォード大学が遺伝子組み換えの特許のライセンスで200億円以上の収入をあげた例がある。10年の大学の特許料収入は24億ドル(約1900億円)に達するなど大きな収入源になっている。医療、情報技術、環境エネルギーなどでの活用が期待されている。

武田薬品工業の元知財担当役員である知財管理会社、知的財産戦略ネットワーク(東京)の秋元浩社長は「日本の大学は稼ぐのが下手。企業ならば実施料を今の10倍は取れる」という。外部機関を使いこなすことができれば、適正なライセンス料を取れ、収入が大きく拡大する可能性がある。

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