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命運握る、自治体判断 原発ゼロ 関電の苦境(下)

地元作業体制 維持に腐心

21日未明、関電の高浜原子力発電所3号機が静かに原子炉の運転を止めた。ゼロ原発は地域経済にも影を落とす。高浜町の野瀬豊町長は1月、福井市内の会合で若狭地域における関電原発の経済効果を明らかにした。

それによると関電は毎年、原発関連で約1500億円の維持管理費を使う。うち約175億円が地元の協力会社約180社に回る。さらに職員らのタクシー代や飲食代で35億円ほどが地元に落ちる。高浜町の2011年度一般会計予算の歳入は74億円。関電マネーの大きさがうかがえる。

協力会社に影響

雇用面でも存在は大きい。原発作業員が約2800人と最も膨らむ定期検査時、2500人は地元要員という。野瀬町長は再稼働がなかなか決まらず、「関連企業のつなぎ融資に金融機関が慎重になった」と指摘。「今年1年、原発が動かないと協力会社の半数が倒産しかねない」と危機感をあらわにする。

美浜町で関電原子力事業本部を統括する豊松秀己副社長は「40年近く仲間としてやってきた地元企業が経営計画をたてられず、申し訳ない思い。検査技術や作業ノウハウが流出しないか」と表情を曇らせる。

再稼働に必要な地元同意のカギを握る福井県の西川一誠知事。「ストレステスト(耐性調査)だけで原発の安全性は確認できない」とし、老朽化対策など盛り込んだ安全基準作りを国に求める。原子力安全・保安院の担当者は20日、記者会見で「基準作りの作業は恐らく(4月の)原子力規制庁になってから」とコメント。24日開会の県議会で再稼働を判断できない可能性も浮上している。

橋下市長がクギ

関電の筆頭株主の大阪市は6月の株主総会に向けて着々と準備を進めている。14日には市環境局長が関電本店を訪れ、12年度の詳細な需給予測、人件費や寄付金の内訳など30項目の情報開示を求めた。この情報をもとに総会で橋下徹市長が脱原発依存の株主提案を説明する予定だ。

関電は取引金融機関などの上位株主とともに乗り切る構えだが、大阪市は保有する関電株約9%に京都市や神戸市の協力、個人株主らの賛同を得て関電に経営戦略の転換を促そうとしている。

「電気が足りないのか、国民、関西府県民で確かめる大きなチャンス」。20日、大阪市の橋下市長は原発再稼働を急ぐ関電にくぎを刺した。大阪市との対立は深まるばかりだが、節電要請などでは地元自治体との連携が不可欠。正面衝突をどう避けるか頭を悩ませる。

逆風下でも関電は12年度、13年度に例年とほぼ同じ各570人の採用を計画する。2年連続で採用を見送る東電に代わり、電力業界を目指す技術者や事務職を最も多く受け入れる。人材採用を含め、攻めの姿勢に転じようとしているようだ。

だが肝心の原発再開は政府や地元自治体の判断に委ねざるを得ないのが実情だ。1970年に美浜原発1号機をいち早く稼働し、日本の原発のけん引役となってきた関電。その経営の足元は大きく揺らいだままだ。

山根清、福井支局の小山隆史が担当しました。

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