関西企業、4~12月の経常益41%増 通期予想の8割確保
関西企業の業績回復が続いている。日本経済新聞社が集計した関西の上場企業の2010年4~12月期の連結経常利益は3兆3331億円と、前年同期比41%増加した。新興国の需要拡大などを背景に、電機など主要製造業が回復をけん引した。経常利益は第3四半期までに11年3月期通期予想の8割強を確保。ただ、直近の10年10~12月期の利益が伸び悩むなど、懸念材料もある。
関西に地盤がある3月期決算の上場企業(金融、新興市場、決算期変更除く)で15日までに4~12月期決算を発表した386社を集計した。製造業が256社と3分の2を占める。全体の売上高は9%増の51兆4105億円だった。
業績回復が顕著な業種は主力の電機のほか、非鉄金属、機械などだ。パナソニックはエコポイント制度による国内の家電販売が好調で、税引き前利益(米国会計基準)が2273億円と、前年同期の4.2倍になった。NTNは新興国向けなどを中心にベアリング需要が拡大し、前年同期の経常赤字から大幅な黒字に転換した。
市場が拡大しているスマートフォン(高機能携帯電話)の関連メーカーも好調だ。村田製作所は主力のコンデンサーの出荷が拡大。日東電工はタッチパネル用部材の生産が増え、それぞれ通期の業績見通しを上方修正した。
通期予想に対する4~12月期の経常利益の進捗率は84%。通期業績が予想を上回る企業が相次ぐ可能性もある。
11年3月期の通期予想は直近のピークだった08年3月期に比べ、売上高で9割、経常利益で7割まで回復する見通し。1~3月期に順調に利益を積み増せば、本決算は08年秋のリーマン・ショック前の水準にさらに近づく。
気がかりなのは直近の減速感だ。10年10~12月期に限ると、経常利益の前年同期に対する伸び率は8%と、4~9月期の70%から大幅に鈍化した。特に電機大手は海外勢との競争激化もあり、先行きに慎重だ。
シャープは1~3月期の経常利益が83億円と、10年10~12月期から59%減る見通しだ。「液晶パネルの単価下落が進んでおり、1~2割減産した10~12月期に続き1~3月も1割程度の減産を実施する」(安達俊雄副社長)。パナソニックも1~3月期は173億円の税引き前損失を見込む。
ただ、日興コーディアル証券の西尾浩一郎国際市場分析部次長は「米景気に改善傾向が見られ、為替も円安に推移している」として、1~3月期の企業業績の下振れは考えにくいと指摘している。
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