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スパコン「京」、企業開発の最速化を支援

大阪のNPO、創薬用ソフト講習 兵庫県など、隣接地に貸研究室

世界最高の性能を関西企業の競争力に生かす(神戸市中央区)

世界最速のスーパーコンピューター「京(けい)」の産業利用を促す取り組みが関西で広がっている。大阪大学の研究者などでつくる特定非営利活動法人(NPO法人)が創薬への活用を支援する事業を近く開始。兵庫県などが出資する計算科学振興財団(神戸市)は企業秘密に配慮した個室を開設する。神戸市も関連予算を計上した。今秋の本格稼働を控え、京を活用した技術開発を促し、関西経済の活性化につなげる。

阪大などでつくるNPO法人、バイオグリッドセンター関西(大阪市)は、京を保有する理化学研究所と協力し、製薬会社などを対象に創薬用ソフトなどの講習を2012年度に始める。京の活用ノウハウなどの相談も受け付ける。

病気を引き起こすたんぱく質やウイルスの働きを抑える医薬品の探索、新素材の解析、複雑な製品の設計などにスパコンは有効で、計算能力が高いほど開発期間を短縮できる。ただ、専門技術者を抱える企業は大手でも少ない。NPO法人は京の効果的な利用法を製薬会社に指導する。

阪大はJR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」に計画中の産学連携拠点「大阪オープン・イノベーション・ヴィレッジ」に、京と超高速回線で結ぶ施設を造る計画。バイオグリッドセンターはここを拠点にする。橋下徹大阪市長は同ヴィレッジの見直しを示唆しているが、計画中止になったとしても、別の場所で支援事業に取り組む。

兵庫県や神戸市などが出資する計算科学振興財団は文部科学省の支援を受け次第、京に隣接する高度計算科学研究支援センターに企業向けの貸研究室を設ける。京に直接接続できるパソコンなどを配備。専用ICカードが必要などセキュリティー対策を強化し、秘密保持を望む企業の声に応える。

同財団は企業向けに別のスパコン「FOCUS」を11年4月から開放、神戸製鋼所や富士通テン(神戸市)など50社以上が利用している。講習会を開くなど利用企業を支援しながら、スパコンに慣れた企業が京も使えるように準備を進めている。

神戸市は大学や研究機関、企業などが集積する研究教育拠点づくりを促すため、理研と計算科学振興財団の共同研究を支援。12年度予算で2億1700万円を計上した。

兵庫県、神戸市、計算科学振興財団や神戸大学などで構成する「ひょうご神戸サイエンスクラスター協議会」は、12年度に開く研究交流会などでスパコンの活用も検討する。

成果公開なら無料でOK

企業などはスパコンの利用技術の開発を手掛ける財団法人、高度情報科学技術研究機構に研究テーマを提案し、審査に通れば、京を利用できる。テーマは5、6月に受け付け、8月までに採否が決まる。9月末から実際の利用が始まる。

文部科学省が定めた主なテーマは「医薬・創薬」「防災・減災」「新エネルギー」「宇宙の起源」「次世代ものづくり」の5分野。他の分野でも審査に通れば利用できる。

企業は研究成果を公開すれば、京を無料で利用できるが、非公開だと一定の利用料の負担を求められる。

▼「(けい)」 理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター。9万個弱のCPU(中央演算処理装置)などを搭載し、昨年11月時点で1秒間に1京(1兆の1万倍)回の計算をこなし、世界最高性能を記録した。

能力は最新のパソコンの数万倍、現在主流のスパコンの数百倍の計算能力がある。現在、実物や模型を使っている様々な実証実験をコンピューター上で計算できるようになる。既存のスパコンが2年かかった計算が1日で済む。

産業利用では大学研究者が自動車や新素材、新薬の開発などで利用できるシミュレーションソフトを多数開発。稼働当初から幅広く利用できる体制を整えてきた。

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