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近代建築や上方文化、都市の魅力どう生かす 保存・育成に注文の声

大阪ダブル選

お笑いなどで注目されることが多い大阪だが、街角には近代建築や上方文化の伝統も息づく。大阪の文化の生かし方は、都市の魅力をいかに高めて観光や経済の活性化につなげるのかという課題とも絡む。府知事選と市長選のダブル選挙の投開票はあすに迫ったが、論戦からは「文化」の2文字が抜け落ちている。

大阪市営地下鉄なんば駅から徒歩2分。百貨店や飲食店がひしめく一角に、1929年に完成した旧市立精華小学校(大阪市中央区)の校舎がたたずむ。アーチ型の窓枠など昭和初期の建築様式を色濃く残す。

小学校は児童数の減少で95年に閉校。校舎の一部が小劇場として使われた時期もあったが、市は2007年に跡地売却を決定。近く公募手続きに入るとみられ、売却額は数十億円ともいわれる。

「取り壊す前に歴史ある校舎の価値を考えて」と話すのは、同市中央区の建築家で同小学校の卒業生でもある分田よしこさん(46)。校舎には当時の最新設備だったエレベーターが戦時中の金属供出で取り去られた跡が残る。分田さんは「校舎には生活の貴重な記録も刻まれている。アートや食の人材を育てる文化施設などに活用できないか」と提案する。

同じ卒業生でも異なる意見もある。地元の自治会長、徐正来さん(60)は「周囲をにぎやかにする施設が早くできてほしい」と話す。繁華街の中心に未活用の土地があることで「商売の環境が悪くなり、店を閉めた経営者も多い」といい、校舎を壊すかは「買い取った民間業者の判断に委ねるべきだ」としている。

25年完成のダイビル(大阪市北区)、34年完成の旧大阪市水道局扇町庁舎(同)……。惜しまれながら消えていった近代建築は多い。39年完成の大阪中央郵便局(同)も解体予定だ。

一方、大阪市は06~09年度に約950億円の市有地を売却。市有地は貴重な財源でもあり、一概に建築保存を優先できないのも実情だ。

保存や活用が求められているのは建築ばかりではない。大阪府豊中市の上田敦史さん(38)は上方芸能として数百年続いてきた能楽の舞台で小鼓を打つ。小学生向けの教室を開くなど普及に努めてきたが、大阪はチケットを売る苦労が多いという。

だがダブル選では文化を巡る議論は、ほとんど聞かれない。大阪には東京や名古屋のような行政が関与する能楽堂がなく、「このままでは大阪の能楽が衰退する」と危惧する上田さんは、府や市が能や歌舞伎、文楽など上方芸能を上演する場を設置するよう求めている。

大阪文化のPRについても注文の声が上がる。上海市の観光親善大使を03年から務める大阪市のカメラマン、本堂亜紀さん(37)は「上海では対外発信の担当者は10年は変わらず、海外の要人などと人脈を築く。府や市では担当者がコロコロ変わるため、PR効果が弱い」と話している。

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