防犯カメラ映像、歩き方で個人識別 阪大がソフト開発

2013/7/24付
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「2歩分の映像があれば高精度で鑑定できます」――。大阪大産業科学研究所(大阪府茨木市)は23日、防犯カメラに映った歩く姿から特定の人物かを鑑定できるソフトウエアを世界で初めて開発したと発表した。人によって異なる歩幅や腕の振り方などを解析。「100メートル先の小さな姿でも可能」といい、不鮮明な映像で頭を悩ませることも多い犯罪捜査現場でも期待されている。

歩幅や姿勢、腕の振り方など、無意識のうちに歩き方に違いが出ることを利用した生体認証技術は「歩容認証」と呼ばれる。同研究所所長の八木康史教授らの研究グループは、歩く姿の映像からシルエット(影絵)を抽出し、特徴を数値化して複数の映像に映った人物が同じかどうか比較する技術を開発した。

犯行現場の映像と別の場所の映像を照合することで、容疑者として浮上した人物が現場にいたかや、前後の足取りなどを把握する助けになる。

八木教授は「通常の歩き方なら、2歩分の映像があれば90%以上の精度で識別できる」と話す。ただし、走っている場合や、同じ人物でも年齢変化やけがなどで歩き方が違っている場合などは難しいという。

八木教授には2008年末ごろから月1件のペースで、各地の警察から個別に鑑定依頼が寄せられているという。09年には、奈良県内で前年に起きた放火未遂事件で奈良県警から鑑定依頼があった。現場の防犯カメラに犯人の顔は映っていなかったが、容疑者として浮上した男の映像と歩き方の特徴が一致し、逮捕の決め手のひとつとなった。

八木教授らは研究などの合間に鑑定を行ってきたが、時間や労力に限りがあるため、警察の科学捜査担当者でもできるようソフトを作成した。今年6月には警察庁科学警察研究所がソフトを使って職員研修を実施。数年後には全国の警察での実用化を目指している。

大阪府警幹部によると、捜査で防犯カメラ映像を集めても、不鮮明だったりして顔が判別できなければ参考にならないケースが多い。幹部は「識別精度の高さが重要になるが、実用化されれば捜査に活用できるのでは」とソフトに期待。八木教授は「複数の映像から犯人に近い人物を迅速に絞り込むなど、捜査の効率向上に生かしてもらえれば」と話している。

歩容認証は犯罪捜査以外にも応用が期待されている。広域監視が可能なため、不審者の歩き方のパターンを登録して税関や万引き防止に利用したり、オフィスで従業員の歩き方を登録して部外者を判断したりするほか、年齢や性別も判別できることから、百貨店などでの迷子の発見などに活用できる可能性があるという。

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