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カビとの終わりなき闘い 石室解体の教訓(2)
軌跡

2014/5/13付
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文化財をむしばむ害虫やカビ。その対策に向けた調査や人材育成に取り組む公益財団法人文化財虫菌害研究所(東京・新宿)は昨年、名称を変更した。1951年の設立以来「虫害」だった部分を、「虫菌害」に改めたのだ。三浦定俊理事長は「文化財のカビ被害は深刻だが、認識は不十分だ」と警鐘を鳴らす。

三浦さんは6年前まで、東京文化財研究所の研究者として高松塚古墳(奈良県明日香村)で国宝壁画に生えたカビと対峙した。石室内は温度15~20度、湿度はほぼ100%とカビには絶好の環境。悪戦苦闘が続いた。

カビが生えない状態は様々な条件が複雑に絡んだバランスの上に成り立つ。「かつては『地下空間は密閉状態で、入り口さえ塞げば安定した環境に戻る』と思い込まれていた」と三浦さん。実は石室は隙間だらけで、外部と空気や水、生物が行き来していた。

石室への窒素ガス注入を検討したものの、気密性が低いことが分かり断念。薫蒸処理は壁画や人体、環境への悪影響を考慮し、控えざるを得なかった。アルコールで殺菌すれば、アルコールをエサにする種類のカビが繁殖。墳丘に冷却管を埋設して石室ごと冷却を試みたが、低温で生成するカビが出現した。万策尽き、石室解体に追い込まれた。

いったん崩れたバランスを元に戻す環境制御法は、いまだ解明されていないという。三浦さんは「異常のない状態のデータを日ごろから蓄積しておくことが重要」と話す。

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