生活保護 財政にズシリ 大阪市、全国最多の15万人
3年で3割増 問われる打開策

2011/11/15付
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最後のセーフティーネット(安全網)と呼ばれる生活保護の膨張が大阪の苦境を浮き彫りにしている。全国の受給者は過去最多の205万人(7月時点)に達し、大阪市は自治体で最も多い15万人。3年間で3割増え、今年度に予算計上した生活保護費のうち市負担分は市の税収の約12%に上る。制度の抜本改革を求める声が高まる一方、27日投開票の市長選の勝者は自治体財政に影を落とす現状の打開を迫られる。

区役所で就職相談をする生活保護受給者(手前)と支援担当者(大阪市平野区)

高齢者のみならず現役世代の受給者増は各都市共通の悩みだ。景気回復の見通しが立たない中、生活保護に頼る失業者が職を探しても見つからず、「働きたくても働けない」ケースも目立つ。

住民の約4人に1人が生活保護を受ける大阪市西成区。保護費支給日の1日、同区役所内で無料求人誌を手に公衆電話をかけ続ける男性(43)がいた。生活保護を受け始めてから3年半。仕事に就いた時期もあったが、職探しを続けている。

「厳しい」。警備や工場作業の仕事を探しているという男性がぽつりとつぶやく。「年齢や痛みの残る腰の状態を告げると、それを理由に断られることも多い」

大阪市によると、保護世帯のうち高齢や母子世帯などではなく「その他」の区分に当てはまるのは約2万3千世帯で、3年前の約3倍。受給世帯全体の約2割に上り、「働ける失業者」が急増したとみられる。

市長選では生活保護問題への対応について、現職の平松邦夫氏(63)は「地域密着の雇用創出や就労支援の拡充など可能な限りの政策を推進する」と強調。地域政党「大阪維新の会」代表で前府知事の橋下徹氏(42)は「雇用を増やすため府と市の成長戦略を一本化して経済成長を促す。仕事の技術や能力をつける就労支援に力を入れる」と訴える。

足元の大阪府内の有効求人倍率(9月)は0.66で全国水準(0.67)を下回る。雇用創出へ向けた自治体の努力だけでは大幅な改善は見込めないのが実情だ。

大阪市平野区役所4階の「就労相談室」では連日、受給者の就職相談が開かれる。市から受託した民間の就職支援会社の担当者が求人資料を見せながら希望を聞き取り、履歴書の書き方も助言する。

市全体では昨年度支援した約8300人のうち就職できた人は約3分の1にとどまった。市は受給者を支援する職員(ケースワーカー)をこの3年間で3割増やし、約1000人体制としたが、受け持つのは1人当たり最大60世帯に上る。

就職支援会社の担当者は「企業面接が決まっても当日無断で欠席する人もいる。自信を失い、前向きになれない相談者も少なくない」として対応の難しさを吐露する。

13日から市内各地で熱弁を振るい始めた2人の市長選候補。経済や雇用政策への言及はあるものの、今年度約2900億円の予算を組んだ生活保護にテーマを絞った論戦はまだ交わされていない。

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