2019年2月23日(土)

障害者スポーツ、祭典で見えた課題 識者に聞く

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2012/10/11付
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障害者スポーツの祭典「パラリンピック」発祥の地で行われた今回のロンドン大会で、日本代表は金5、銀5、銅6の計16個のメダルを獲得した。日本でも障害者スポーツは競技としての認知度や魅力が高まる一方で、アスリートらを支える体制は不十分との指摘が多い。ロンドン大会が終わった今、障害者スポーツに何が求められているのか、浮かび上がった課題を識者2人に分析してもらった。

■二宮清純氏 「パラリンピック選手が自由に使える施設整備を」

パラリンピック発祥の地で開かれたロンドン・パラリンピック大会は大成功を収めた。障害者が幅広くスポーツに参加できる環境が整った英国では、家族連れなどが連日会場に足を運び、マナーのいい観戦で会場が沸いたと聞く。障害者スポーツの成熟都市で行われた今大会は、次回大会から成功を判断する上でひとつの指標となるだろう。

二宮清純氏 (にのみや・せいじゅん) 1960年、愛媛県生まれ。フリーのスポーツジャーナリストとして、五輪、障害者スポーツ、サッカーW杯、メジャーリーグなど国内外で幅広い取材活動を展開するほか、スポーツに関する政策提言も行う。『スポーツ名勝負物語』『スポーツを「視る」技術』『プロ野球の職人たち』など著書多数。

二宮清純氏 (にのみや・せいじゅん) 1960年、愛媛県生まれ。フリーのスポーツジャーナリストとして、五輪、障害者スポーツ、サッカーW杯、メジャーリーグなど国内外で幅広い取材活動を展開するほか、スポーツに関する政策提言も行う。『スポーツ名勝負物語』『スポーツを「視る」技術』『プロ野球の職人たち』など著書多数。

五輪では史上最多の38個のメダルを獲得した日本勢。日本オリンピック委員会(JOC)が運営するナショナルトレーニングセンター(NTC)や、文部科学省が所管する国立スポーツ科学センター(JISS)を使用できたことが活躍の背景にあるのは間違いない。

一方でパラリンピックの日本勢は2008年の北京大会に続きメダルを減らした。パラリンピック選手は特例としてしかNTCやJISSの使用を認められなかった。厚生労働省の管轄にある障害者スポーツはおおむねリハビリの延長として位置付けられており、複数の障害者アスリートが2施設の使用を要望したものの、使用しづらい状況は変わらなかった。

縦割り行政の現状から障害者版のNTCやJISSの設置を求める声もあるが、五輪選手もパラリンピック選手も等しく使用できるように運用を工夫することから始めるべきだと考える。今大会前にもパラリンピックの日本競泳チーム16人が強化合宿を行うなどの例も見られたが、空いているときの例外的な使用だった。常時使えるようになれば、パラリンピック選手の競技力が一層高まり、五輪選手との一体感も生まれ、選手同士の草の根レベルで壁が取り払われることにつながるはずだ。

その先に、五輪とパラリンピックの予算権限と管理を一元化する「スポーツ庁」の必要性が議論されることになるだろう。ただ、文科省所管の幼稚園と厚労省所管の保育園の「幼保一元化」のように、縄張り争いの果てに一元化が事実上見送られ、さらに三元化したとの指摘をされるようなことになっては後退しかねない。だから、そこは慎重に議論しなければならない。

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