2019年9月22日(日)

[FT]イラク戦争との類似が誤解を招くシリア問題

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2013/8/29 14:00
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(2013年8月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

現在のシリア危機は、2003年のイラク戦争前夜の状況と不気味なほど似ている。我々の記憶に残る多くの要素がそこにある。だが、似ているからこそ誤解を招く恐れがある。

ガスマスクを着け物証を集める、国連が派遣した化学兵器探査専門家(28日、ダマスカス)=ロイター

ガスマスクを着け物証を集める、国連が派遣した化学兵器探査専門家(28日、ダマスカス)=ロイター

03年当時、イラクによる化学兵器や生物兵器の保有を決定的に証明できた者はおらず、国連の武器査察団は結局何も見つけられなかった。一方、シリアに化学兵器が存在することは疑う余地がなく、実際につい最近使用された。

■類似点と相違点

しかし、誰がそれを使用したかという疑問が生じ、情報という厄介な問題が浮上する。イラク戦争以降、うがった見方をするようになった多くの人々は、シリアのアサド政権が化学兵器を使った確実な情報があると主張されても、素直には受け入れられなくなっている。これは米中央情報局(CIA)と英情報局秘密情報部(MI6)がイラクのフセイン大統領について断定した態度と同じではないだろうか。しかし、現状はかなり違っている。

当時のブッシュ米大統領とブレア英首相は、明らかに対イラク開戦の理由を探すのに必死だった。そのため、情報機関が「正しい」判断を下すよう強い圧力を受けていたとの懸念が浮上した。これに対し、現在のオバマ大統領は同じくらい明らかにシリアへの軍事介入を避けたいと切望している。

軍事力行使を可能にする国連安全保障理事会の決議が採択されない見通しであることもイラク戦争の不幸な記憶と重なる。実際には、対シリア攻撃に国連のお墨付きを得ることはイラク戦争時より困難かもしれない。当時、戦争の法的根拠を与える国連決議は採択されたが、はっきりと武力行使の権利を認める新たな決議案は通らなかった。シリアの場合、これを踏まえたロシアと中国が、当初から対シリア決議案に反対を唱える公算が大きい。

しかし、シリアを巡る国際社会の政治状況はイラクとは大きく異なる。03年当時は国連決議がないことよりも、欧米各国の思惑の違いが憂慮されていた。

だが今回、フランスは当時のように軍事行動に反対するどころか、率先して武力行使を訴えており、ドイツもこれを支持する構えだ。イラクで協力を拒んだ重要な同盟国の一つであるトルコも、シリア問題では味方についている。確かに、ロシアは軍事行動に断固反対しているものの、他に公然とロシアを支持する国はいない。

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