[FT]薄氏解任で露呈した中国の政治体制のひずみ

(1/2ページ)
2012/3/22 14:00
保存
共有
印刷
その他

(2012年3月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国の最後の皇帝は毛沢東氏だった。同氏の死後、トウ小平氏がなしとげた最も偉大な功績は国家主席が全権を掌握する体制を廃止したことだろう。毛氏は1976年に死去したが、名目上は共産主義でも、毛沢東主義以前と以後の政治体制にはほとんど共通点がない。

■カリスマ排除し合意重視の政治へ

全人代に出席した温家宝首相=手前=と薄熙来氏(3月9日、北京)=AP

全人代に出席した温家宝首相=手前=と薄熙来氏(3月9日、北京)=AP

改革開放政策の立役者であるトウ氏は確かに強大な権力を握っていたが、毛氏ほど非現実的ではなかった。90年代前半にトウ氏の後継者として台頭した江沢民前国家主席の権力はさらに弱まった。現国家主席の胡錦濤氏はこうした前任者らと比べれば最も権力を持たない。カリスマ的指導者の追放は完了した。少なくとも、薄熙来・前重慶市党委書記が突然登場するまではそうだった。

毛沢東以後の中国は合意に基づいて統治する能力主義の集団指導体制を確立した。最高指導部である政治局常務委員会(現在は9人)と25人の委員で構成される政治局で合意が形成される。さらに共産党や人民解放軍など様々な官僚組織がある。

ある程度は民意が反映される余地もある。共産党指導部は汚職や汚染、能力の欠如や不平等など何であれ、最近では主にインターネット上で展開される批判に極めて敏感だ。特に批判が党自体の正統性に及ぶ場合、指導部は時には反体制派と衝突する道を選択する。だが、大連の石油化学工場の爆発事故を巡る暴動など、多くの場合、指導部は民衆の怒りの表明に対し意外なほど理解がある。

共産党幹部は難しい行政や政治ポストを歴任し、何年もかけてトップの座を争う。こうした厳しい制度により非常に有能な指導者が生まれ、欠点はあるものの、彼らが30年にわたる高度経済成長を主導してきた。だが今、こうした官僚的な合意重視の政治体制が大きな圧力にさらされている。問題は党内外に山積している。

■毛沢東主義の様相を呈した薄氏の手法

先週まで重慶市党委書記を務めていた薄氏の突然の解任劇は党内の課題を象徴するできごとだった。薄氏の父親は「八大長老」の一人だが、同氏は共産党ピラミッドの最下層からはい上がった。大連や遼寧、重慶で重要な地位を務めるまでに至り、常務委員会入りを狙っていた。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]