[FT]広がるイスラム過激派の脅威(社説)

2013/1/21 14:00
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(2013年1月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

2011年5月に国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者がパキスタンで射殺され、米国とその同盟国は歓喜の声をあげた。イスラム過激派との長い戦いが重大な転機を迎えたと受け止められたからだ。だがそれから18カ月後、各地で政情不安が再燃し、イスラム原理主義勢力との戦いが新たな局面を迎えつつある。

■拡散を始めたアルカイダの脅威

人質事件が発生した天然ガス関連施設のあるイナメナス近郊を走るアルジェリア軍のトラック(1月20日)=AP

人質事件が発生した天然ガス関連施設のあるイナメナス近郊を走るアルジェリア軍のトラック(1月20日)=AP

アフリカ西部のマリでは、国際テロ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」が現地勢力に加わり、同国北部を制圧した。この勢力拡大をきっかけとしてフランスが軍事介入。これがアルジェリアの天然ガス関連施設で先週発生した人質事件を引き起こした可能性がある。

シリアではイスラム過激派勢力「ヌスラ戦線」がアサド大統領に対する反乱を主導している。欧米はこの勢力が3000人以上の主要戦闘員を擁しているとみている。アサド大統領が失脚すれば、この組織がシリアに重要な足場を築く可能性がある。一方、イエメンでは、同国を拠点とするアルカイダ系武装勢力「アラビア半島のアルカイダ」が自爆テロに利用できる高度な爆発技術を持っており、懸念が高まっている。

アルカイダの脅威がパキスタンの荒れ地に限定されていれば、無人飛行機による攻撃で対処できる。今やその脅威は拡散し始め、欧米諸国はより複雑な対応が求められる。

■米国と同盟国は武装勢力に対抗を

ただ、ここで重要なことが3つある。第1に、こうした組織が欧米に及ぼす実際の脅威を正確に把握するのは難しい。例えば、AQIMが欧州の大都市への攻撃を計画したとしても、実行に移す能力があるかは分からない。

第2に、イスラム過激派の多くはアルカイダ系を自称しているが、組織的なつながりを示す証拠は少ない。

最後に、米国とその同盟国はイスラム過激勢力の台頭に臨機応変に対応し、可能であれば地域勢力とも積極的に協力し、武装勢力に対抗していくことが必要だ。

(c) The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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