2019年2月17日(日)

[FT]不可避だった仏軍のマリ軍事介入(社説)

2013/1/15 14:00
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(2013年1月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

フランスのアフリカへの軍事介入には数奇な歴史がある。だが、仏政府が今回、アフリカ西部マリへの軍事介入を回避する方法を知ることは難しかっただろう。フランスは何カ月もの間、国際テロ組織「アルカイダ」にもつながるイスラム過激派の掃討でマリへの支援を国際社会に呼びかけてきた。

フランスのマリへの軍事介入はリスクをはらんでいる(マリの空軍基地でミラージュF―1戦闘機を整備するフランス空軍整備士。14日、バマコ)=ロイター

フランスのマリへの軍事介入はリスクをはらんでいる(マリの空軍基地でミラージュF―1戦闘機を整備するフランス空軍整備士。14日、バマコ)=ロイター

イスラム過激派はすでにマリの3分の2を制圧しており、先週は南部への侵攻を開始した。マリ政府軍は分裂し混乱しており、完全武装した反政府軍を前に崩壊しつつあった。武装勢力の侵攻を許せば、首都バマコすら陥落しかねず、そのリスクは甚大だ。

欧州から飛行機でわずか数時間の距離にあるマリは、ジハード(聖戦)攻撃の拠点になりかねなかった。アフリカ地域や域外からイスラム過激派が集結した。彼らはコカインなど密輸取引の犯罪網と連携、その利益を戦闘の準備に用いた。これほど広大な過激派の支配領域は、西アフリカの安定性をむしばみ、回復途上の経済を脅かした。しかし、フランス以外にはどの国もあえて介入しようとはしなかった。

イスラム過激派の攻撃が続いたとき、国連安全保障理事会の委任を受けたアフリカ介入軍が名乗り出るのが理想だった。だが不幸にして、西アフリカ諸国の部隊は仏軍の後を追うだけとなろう。フランスの介入は地域協力の拡大に向けた努力を複雑なものにする。同時に、過激派がこの戦闘を国際的なものにするプロパガンダを助けることにもなりかねない。フランスの商業的利益と同地域の6万人の市民が潜在的な標的になっている。当然、フランスの介入が失敗する可能性もある。イスラム勢力は14日、首都に向かう新たな前線を開いた。

フランスが長期にわたり泥沼に足を取られるのを避けるには、北部を制圧した民兵との妥協を通じて過激派を孤立させるようマリ暫定政権を促すべきだ。昨年3月のクーデターまで、マリはアフリカ地域で数少ない例外として民主主義が機能していた。だが、政権が北部勢力を排除し、同地域で反政府闘争が始まった。

北部の和解は、憲法支配を復活させ国家的な枠組みとして固める必要がある。軍隊については、再統合し訓練する必要がある。

また介入が効果を挙げるには財政面での国際的なコミットメントが必要だ。フランスは当面、先頭に立たざるを得ない。だが、フランスが舞台裏へと退くことができるなら、マリにとっても最善の選択となろう。

(c) The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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